キッコーマン「密封ボトル」しょうゆ、使い切る裏ワザとは 「ピー」の音に隠された”企業努力”に迫る:しょうゆ市場の救世主(2/3 ページ)
キッコーマンのしょうゆ「いつでも新鮮」シリーズ。残り少なくなったしょうゆをボトルから絞り出すことができず、泣く泣く捨てるという利用者の声がSNSで話題に。どうすれば使い切れるのか。
密封ボトルはしょうゆ市場の救世主?
私たち日本人の生活に欠かすことのできないしょうゆ。しかし、国内の市場を見渡すと、しょうゆの出荷数量は年々減少傾向にある。
しょうゆ情報センターの統計によると、しょうゆの出荷数量は02年に年間100万キロリットルを割り込み、その後も一貫して減少が続く。直近の20年は70万キロリットルまで減っている。人口減少や嗜好の多様化、女性の社会進出に伴う家庭内調理の減少――など、要因はさまざまあるとみられている。
そんな中で、キッコーマンのしょうゆ売り上げ拡大に最も貢献しているのが、やはり、密封ボトルに入った「いつでも新鮮」シリーズだ。
キッコーマンの過去10年間のしょうゆ販売数量を容器別の割合で見ると、密封ボトル入り商品が該当する1リットル未満の商品は、11年の13.2%から、20年は23.7%と10%以上増えている。
これとは対照的に、1リットルのペットボトル入り商品の割合は、11年の23.9%から20年は17.5%と、年々縮小していることが分かる。
「かつては1リットルのペットボトル入りしょうゆが台所に置かれていましたが、今は違います。密封ボトルの『いつでも新鮮』シリーズの登場で、450ミリリットルや200ミリリットルの卓上タイプが主流になりました。量が売れないなら、付加価値を高めていくことで、皆さまの期待に応えられると考えています」(伊東さん)
この付加価値こそ、密封ボトルによる鮮度の保持ということだろう。キッコーマンが先駆けて開発した密封ボトルはその後、他社も追随。現在は容器メーカーが汎用容器を作製し、密封ボトルはしょうゆに限らず、味噌やナンプラー、オリーブオイルなど多様な調味料に広がっている。
量が売れないなら、付加価値で勝負する――。
これはしょうゆに限らず、すべての商品に共通して言えそうだ。
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