22年度新入社員に向けた、経営者の熱い言葉──トヨタ、ソフトバンク、ファミマなど:「前例第一主義」になるな(2/2 ページ)
4月1日、多くの企業が入社式を行った。コロナ禍で迎える3回目の春。新入社員に向けて、各社の経営者は何を伝えたのか。
ファミリーマート 細見研介社長
ファミリーマートの細見研介社長は、コロナ禍で学生生活を送った新入社員に「未曽有の厳しい環境を乗り越え無事に卒業を果たし、人間的に大きく成長されたことにどうか自信を持っていただきたい」とねぎらいの言葉をかけた。
その上で、ウクライナ侵攻や原材料・エネルギー価格の高騰というビジネスを取り巻く困難に触れ、「この厳しい環境に対し、消費ビジネスの最前線にいるわれわれはしっかりと対応し、チェーンを維持発展させると同時に新しい価値観をお客さまに提供していかなければなりません」と続ける。
最後に、自身の社会人生活で大切にしてきた考えを伝えた。
「私の社会人生活で常々重要にしてきたことをお伝えします。それは、『笑顔とあいさつ』が世界の共通語だということです。これまで世界50カ国でビジネスをしてきましたが、どの国でも『笑顔とあいさつ』が周囲との信頼関係を作る最も大事なコミュニケーションであり、商売の基本であると確信しています」
NHK 前田晃伸会長
日本放送協会会長(NHK)の前田晃伸会長は、故郷である大分県中津市にゆかりがあり、尊敬している人物として福沢諭吉の言葉を紹介した。
独立の気力なき者は必ず人に依頼す、人に依頼する者は必ず人を恐る、人を恐るる者は必ず人にへつらうものなり(『学問のすゝめ』より)
福沢諭吉の重んじた「独立自尊」の精神に触れた上で、NHKの現状の課題も踏まえながら、新入社員に以下のように激励した。
「NHK職員の常套句(じょうとうく)に『今までそうだったから』というセリフがあります。そんな前例第一主義にならないよう注意してください。自分の軸をしっかりと持ち、自分の頭で考えて行動してください」
続けて、前田氏が会長に就任してからの2年間で、NHKが「新しいNHKらしさの追求」「スリムで強靭なNHK」をコンセプトに改革を進めていることを説明。
「改革はまだ道半ばです。NHKの理屈に染まっていない皆さんから見れば、『ここは変だな』と感じるところがまだきっと残っているはずです。その時は、遠慮なく指摘してください。私に直接連絡をしてくれても構いません」と、新入社員にも適切な批判精神を持つことを期待した。
【編集履歴:2022年4月4日午後2時05分 記事初出時、ファミリーマートの細見社長のメッセージ全文に対するリンク先が同社サイトの別ページとなっていたため、修正いたしました】
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