上司ガチャって関係ある? 40歳からは「愛をケチらず、上司を出世させよ」:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(2/4 ページ)
会社員にとって、上司は重要な存在だ。どんな上司と出会うかで、その後の会社人生が決まると言っても過言ではない。一方で、40歳になったら、どんな人が上司であろうと、上司との向き合い方を変える必要があると筆者は解説する。40歳以降の会社員生活で、重要なこととは──?
そこで今回は、「40歳からの上司との向き合い方」をテーマにあれこれ考えてみます。
「会社員にとって、どんな上司の元に配属されるかは、最大の関心事項ですよ。私は入社したときの上司が高圧的で、こんな会社辞めてやると何度も思いました。でも、20代、30代前半までは、一人前に育て上げようと後押ししてくれる上司が、結構いるんですよ。
特に、最近は若者の離職率を下げることに会社は必死ですし、今の若い人たちは、SNSをうまく使いますし、親が弁護士を使って訴えてくるケースも少なくありません。上司ガチャの理不尽さはパワハラに直結する、極めてセンシティブな問題ですから、うちの会社でも、相当、気を付けているし、他の会社も同じなんじゃないでしょうか。
問題は、40代からです。40歳になると、そのまま会社にいる場合でも、転職をする場合でも、プロ野球のFAみたいに即戦力であることが要求されます。言い方は悪いですけど、50歳で早期退職リストの上位になってしまうかどうかは、40代のときの上司が、自分を取り立ててくれるかどうかにかかっている。
自分が成果を出して、上司をいかに出世させるかで、自分の評価が決まるんですよ。こういう言い方をすると、河合さんがいうところの“粘土層”のように思われてしまうかもしれませんが、粘土層とは確実に違います。ごまをするということではありません。
上司が期待するものは、きちんとやる。その上で、『こんなふうにやったら、もっといいんじゃないか』と、プラスアルファを少しだけ付け加える。そうやって上司の顔も立てながら、少しずつ自分流の領域を広げていくことが大事なんじゃないでしょうか」
こう話してくれたのは、某大手企業に勤める、40代後半の課長職の男性です。
ちなみに、“粘土層”とは、権力をもつ上司に、まるで粘土のようにぴったりと張り付くことで、会社員アイデンティティ―を保っている人たちのこと。彼らは、ときに息を潜め、 ときに忖度(そんたく)し、ときにスパイのように振る舞う輩に成り下がった、どうしようもない厄介者です。
仕事をしているフリが上手な「Yahoo!おじさん」、考え事をしているフリが上手な「仏像男」、一日中ウトウトしている「居眠りおじさん」など、粘土層を揶揄(やゆ)する言葉は無尽蔵に存在します。
とはいえ、コロナ禍で事業再編を迫られている企業には、もはや粘土層を抱えておく余裕はありません。むろん、一部の大企業ではいまでに粘土層を盾に生き残っている権力者もいますが、若手からの突き上げも大きくなるばかりの今、粘土層が一掃されるのは時間の問題でしょう。
では、本題に戻ります。
確かに、男性のいうように、上司との関係性にプライオリティをおくことは、50歳以降のキャリア人生を優位に動かすためにも必要なこと。
50代で転職をする人の中には、「元上司に誘われた」という人は結構いますし、希望退職の嵐が吹き荒れているご時世ですから、セカンドキャリアの選択肢を広げるという意味でも、「上司の顔も立てながら……」(by上記の男性)動いた方が懸命です。
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