上司ガチャって関係ある? 40歳からは「愛をケチらず、上司を出世させよ」:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(4/4 ページ)
会社員にとって、上司は重要な存在だ。どんな上司と出会うかで、その後の会社人生が決まると言っても過言ではない。一方で、40歳になったら、どんな人が上司であろうと、上司との向き合い方を変える必要があると筆者は解説する。40歳以降の会社員生活で、重要なこととは──?
最後に、件の男性は「上司ガチャの理不尽さはパワハラに直結する、極めてセンシティブな問題」と言っていましたが、新卒社会人にとっての上司は、組織社会化に成功するか否かに大きな影響を与える存在であることを忘れないでください。「上司ガチャ」の失敗は、人生最大のリスクです。
組織社会化(organizational socialization)とは、「個人が組織内の役割を引き受けるのに必要な社会的知識や技術を獲得するプロセス」で、新入社員の組織社会化の最大の課題は「役割の獲得」です。
組織に適応するには、最低でも3年かかります。
ところが、人的余裕も、時間的余裕もなくなった現代社会では、半年もたたないうちに、「一人」で仕事を任され、多大な業務を押し付けられる。取引先や顧客もかつては、「見習いさん」「新人さん」と多少の失敗も見逃してくれたのに、「新人とかなんとか関係ない。ちゃんと仕事してくれよ!」と厳しく接するようになってしまいました。
というわけで、どうか40歳以上の方は、部下であるかに関係なく、すべての新人たちにも愛をケチらないでください。
彼らの仕事に役立つ情報を、声にして、届けてください。それは皆から頼られる存在になることであり、そういった経験が多様な価値観を受け入れるしなやかさをもたらします。
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河合薫氏のプロフィール:
東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。
研究テーマは「人の働き方は環境がつくる」。フィールドワークとして600人超のビジネスマンをインタビュー。著書に『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアシリーズ)など。近著は『残念な職場 53の研究が明かすヤバい真実』(PHP新書)、『面倒くさい女たち』(中公新書ラクレ)、『他人の足を引っぱる男たち』(日経プレミアシリーズ)、『定年後からの孤独入門』(SB新書)、『コロナショックと昭和おじさん社会』(日経プレミアシリーズ)がある。
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