木谷会長率いるブシロードが「初めて」に挑戦し続ける理由 日本企業はロイヤルカスタマーに優しすぎる:エンタメ業界を代表する「連続起業家」(3/4 ページ)
ブシロードを07年に創業し、今も多くのメガヒットコンテンツを現場で率いるのが、木谷高明会長だ。起業した会社を2度上場させている木谷会長は、エンタメ業界を代表する連続起業家である。常に挑戦し続ける理由を木谷会長に聞いた。
現場に携わってはいけない風潮
――日本の組織だと、上の役職につくと現場に携わってはいけない風潮もあると指摘していますね。
既得権益を持っている会社だったらそれでも大丈夫な場合もあります。ですが、当社くらいのサイズだと全く合わないですよね。
――エンタメの領域で、既得権益になるようなコンテンツといえば『ドラえもん』とか『機動戦士ガンダム』のようなものがあると思いますが、数としてはそうそうないように思います。
一つのコンテンツを長期間展開すると、当初は若かったファンの年齢層もその分上がっていきます。すると購買力も上がってくるので、だからこそ長く続けるのが非常に大事になってくるんですよね。今でも最初に作品を盛り上げてくださるのは若い人なのですが、今は若い人の人口も減ってきています。
また、後発で出しても全く新しいコンセプトだったらヒットする場合もあると思います、一方で、今あるものの延長線上の作品を出しても受けません。こうしたことから、ヒットする作品を一から立ち上げるのは非常に難しいのです。
――コンテンツを長期展開したところで、ファンがずっと付いてきてくれる保証もありませんね。
その作品をお客さまが手に取ってくれたところで、例えばライブにも来てくださるようなファンに成熟するまでに2年とかの時間がかかることも少なくありません。さらに難しいのは、その状態が5年、10年続くのは一般的になかなかないですよね。
多くの方は、作品が嫌いになったわけではないけれど、自然と熱が冷めて離れていきます。だからこそ、コンテンツホルダーとしては新しい顧客を獲得したり、途中で抜けて行ったお客さまを復帰させたりするなどの努力をし続けないといけないわけです。
――現状の延長線上のことをしても新しい顧客を獲得するのは難しい。だからこそ、エンタメは新しいものに挑戦し続けないといけないわけですね。
『バンドリ!』を例にしても、作中の登場人物がずっと同じ時空を生きることはなく、数年に1歳という感じで、現実世界に比べればゆっくりではありますが、変化はし続けているわけです。バンドも当初5つだったのが、今では7つに増えてきています。コンテンツを長く続ける上で、フレッシュさというのは絶対に必要なんですよね。
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