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木谷会長率いるブシロードが「初めて」に挑戦し続ける理由 日本企業はロイヤルカスタマーに優しすぎるエンタメ業界を代表する「連続起業家」(4/4 ページ)

ブシロードを07年に創業し、今も多くのメガヒットコンテンツを現場で率いるのが、木谷高明会長だ。起業した会社を2度上場させている木谷会長は、エンタメ業界を代表する連続起業家である。常に挑戦し続ける理由を木谷会長に聞いた。

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日本企業は、ロイヤルカスタマーに優しすぎる

――既存顧客だけでなく、新規をいかに獲得し続けるかも、エンタメに限らず、あらゆるビジネスの課題によく上がります。

 日本企業は、ロイヤルカスタマーに優しすぎる傾向があるのではないでしょうか。古くからのお客さまを大事にし続けるあまり、いつの間にかお客さまも作り手も両方マニア化していってしまうことがよく起こります。これは、本当に良くないと考えています。マーケットやターゲットがどんどん小さくなる一方ですから。

 例えばライブでどんな曲をやるかについても、ブシロードでは半分ぐらいは事前に情報を出すべきだと私は言い続けています。これに対して「先に曲名を言われると萎えてしまう」という声もあるのですが、これがもうマニアなんですよ。

 言ってしまえばマニアの方は、どんな曲や演者が来てもライブに来てくれますが、一度離れているような、そこまでではない方にとっては、事前に情報を出すことで、「これがあるなら行こうかな」と判断するわけです。マイナスがなくてプラスしかない。それなのになぜそれをやらないかというと、こうしたマニア思考が阻害していることがよくあります。

――作り手側がそのコンテンツの「お約束」に固執するあまり、顧客獲得の機会損失につながっている例も少なくないですね。

 お客さまがマニアになってくださる分にはいいのですが、作り手側までマニアになってしまってはいけません。プロレスもそういうところがあって、今の時代に合っていない部分も多いですよね。

 ブシロードは新日本プロレスやスターダムなどのプロレス団体のオーナー企業になっていますが、作り手側のマニア化からいかに脱却して、新しいことに挑み続けられるかを意識しながら取り組んでいます。そのためには、先ほどお話しした意思決定の早さも重要になってくるというわけです。

――話は変わるのですが、作品の舞台がファンの間で「聖地」となって、地方創生につながる例も出てきています。ブシロードでも地域を舞台した作品がありますが、どのようにお考えでしょうか。

 『バンドリ!』では東京の早稲田周辺が舞台になっていて、都電荒川線とのコラボも実施しました。『バンドリ!』の男性バンド版である『from ARGONAVIS』では北海道の函館が舞台になっていて、現地でライブイベントなども既に実施しています。

 作品が地域を盛り上げる例は増え続けていますが、ライブイベントなど、エンタメを通じて東京に来たいお客さまは多いと思っています。ですから、無理してまで作品の舞台を地方に持っていかなくてもいいのではないかとは考えていますね。


『バンドリ!』の男性バンド版である『from ARGONAVIS』(from ARGONAVISのWebサイトより)
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