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なぜ高級車はFRレイアウトなのか? その独特の乗り味とは高根英幸 「クルマのミライ」(3/5 ページ)

マツダがFRの新しいラージ群プラットフォームを採用したSUV、CX-60を発表した。「時代に逆行している」という意見と共に、登場を歓迎するコメントも少なくなく、セダンに対する期待も溢れている。では、今回のポイントの1つであるFRとはいったい何なのだろうか?

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 1990年代には振動の解析技術が進み、液体封入型のエンジンマウントも登場することでエンジンが発する振動はほとんど車体に伝えられなくなってきた。トルクロッドのブッシュも容量や形状などが工夫されていくことで、反力を受け止めながらも衝撃は吸収するという相反性も高めていった。

 クルマに発生するピッチングは、他にもボディ形状やオーバーハング、重量配分にサスペンションのジオメトリーなどなど、さまざまな要素が絡み合って発生する。クルマを開発するエンジニアたちは、それを丹念に改善することで、FFの悪癖を解消させていったのだ。

 ピッチングを誘発する反力を抑え込むことで、横置きFFは単に軽量コンパクトなだけでなく、広い居住空間と安定感の高い走りを実現し、ミドルクラスまでの乗用車ではカバーするポテンシャルを身に付けたのである。

 こうしてFF車は一般的になり主流になり、そこから4WD車も開発されることで横置きレイアウトはますます主流となっていく。

 昔はトルクステアやステアリングのキャスターアクション(クルマが直進状態へと戻るようにする動き)などに問題があったFF車だが、自動車メーカーのエンジニア方の努力により、われわれドライバーが普通に運転したくらいでは、駆動輪がフロント/リアのどちらにあるのか感じないくらい、FF車のハンドリング性能は洗練された。

 その一方で、FF車ならではの生産性の高さや軽量性、燃費性能の高さもますます磨きが掛けられて、世の中の乗用車のおよそ9割はFF車(FFベースの4WDも含む)になった。

 しかしFF車の走りを洗練していくほどに、それはFRとの素性の違いを感じさせることにもなる。より上質を目指していくと、横置きFFというレイアウトの弱点を認識させられることになるのだ。

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