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倒産危機の新興家電シロカ、買い取りから2年で売上高71億円の新社長の手腕:家電メーカー進化論(2/9 ページ)
製品のリコール費用などで19年に債務超過に陥ったシロカは、2000年に誕生した調理家電を中心に取り扱う白物家電メーカー。現在は新しい経営体制とファンドによる支援により、新生シロカとして再生。旧体制からわずか2年で、売上高を71億にまでアップさせた背景を、金井まり新社長と開発陣に聞いた。
債務超過の始まりは、ヒーターのリコール
シロカが、家電市場で目立つ存在になり始めたのが14年頃。低価格のホームベーカリーや全自動コーヒーメーカー、ブーム前に電気圧力鍋などをいち早く製品化し、新興の白物家電メーカーとしての頭角を表していた。
会社の勢いとともに製品ラインアップは急速に増えていく。そして18年には土鍋を使った電気炊飯器「かまどさん電気」も発売し、売り上げも順調に上昇。19年1月期には年間売上高は約41億円にも達していた。
そんななか、トラブルが発生する。17〜18年に発売したヒーターに発火の可能性があり、全製品の回収、無償点検・修理が発生したのだ。このリコール費用などで14億3300万円の純損失が発生。シロカは約12億円もの債務超過に陥ってしまった。
旧経営陣も資金繰りに奔走したもの、残念ながら旧体制での経営継続を断念。中小企業再生支援協議会のもとで、再生と経営刷新を行うことになった。
新体制でシロカの舵取りを担うことになったのが、リコールによる製品回収や点検を手伝っていた金井まり氏だ。
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