倒産危機の新興家電シロカ、買い取りから2年で売上高71億円の新社長の手腕:家電メーカー進化論(8/9 ページ)
製品のリコール費用などで19年に債務超過に陥ったシロカは、2000年に誕生した調理家電を中心に取り扱う白物家電メーカー。現在は新しい経営体制とファンドによる支援により、新生シロカとして再生。旧体制からわずか2年で、売上高を71億にまでアップさせた背景を、金井まり新社長と開発陣に聞いた。
金井氏が、中国の工場やエコシステムに精通していることも、新生シロカには大きな追い風になっている。例えば、20年春の緊急事態宣言下では、ホームベーカリーが爆発的に売れた。
多くのメーカーが製品を欠品させるなか、シロカは金井氏が持つ調達のノウハウを生かして製品を継続的に供給。20年4〜5月のホームベーカリーの販売実績は、対前年比の292%を実現している。
高コスト体質からの脱却と、生産・調達体制の改善、そして全社一丸となった新製品の開発。これらによって新生シロカは売り上げを飛躍的に伸ばしていく。
売上高は、旧体制最後の19年が41億円に対し、21年が70.6億円と大きく上昇。コロナ禍による巣ごもり需要はあったが、それをしっかりと掴むことに成功している。
「売り上げアップは、商品力と調達力で実現したと思っています。コロナ禍が始まってすぐ中国の輸出がストップしたので、各方面で欠品が相次ぎましたが、当社はほぼ欠品ゼロを実現できました。当時の販売シェアは、ちょっと異常値に近い状態でしたね」(長島氏)
「各社の欠品が相次いだ時に切らさなかったことで、量販店さんからの信頼を集められた結果、今では販売店でも目につく場所に、定番商品として製品を置いていただけることが増えています」(金井氏)
そしてコロナ禍もやや落ち着きを見せた今。金井氏が就任して2年が経った。新生シロカからは、数多くの新製品が登場している。例えば金井氏が得意な扇風機カテゴリーでは、新たにポータブルコードレス扇風機が登場。キッチンや洗面所など、通常の扇風機を置きにくい場所でも利用でき、さらにアウトドアでも利用可能だ。
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