なぜ「ゴロフキンvs村田諒太」は成立したのか アマゾンがPrime Videoに賭ける“ライバルとは異なる想い”:本田雅一の時事想々(3/5 ページ)
4月10日、ボクシングのビッグマッチ「ゴロフキンvs村田諒太戦」が、AmazonのPrime Video会員向けに追加料金なしでライブ配信された。こうした取り組みから読み取れるAmazonの、競合とは異なる戦略とは?
アマゾン プライムの根底にある考え
有料のネットワークサービスとしては、日本で最も多くの会員を有しているアマゾン プライムだが、ご存じの通りその始まりは購入した品物の配送料を無料にする会員サービスが始まりだった。
その後、北米でDVDを購入した顧客が購入後、配送されるまでの間に“すぐ観たい”をサポートするためのサービスとして動画配信が始まっている。同様にアマゾンでCDを購入していた顧客層にMP3データのダウンロード販売を始めたのがアマゾン・ミュージックの前身だ。
その根底にあるのは、より良い販売店であること。価格、利便性、品ぞろえの三要素をネット配信も含めた現代の流通向けに最適化する中で、映像配信サービスが組み込まれているという方が正しい。
会員の中には、1万タイトル以上の見放題作品ではなく、数千万点をそろえる物販サイトでの買い物時の配送無料特典が主目的という人もいるだろう。200万曲の聴き放題サービスや、雑誌・コミックが読み放題になるプライム・リーディングのためにプライム会員になる人もいる。
しかしどんな目的でプライム会員になっているにせよ、アマゾンに集まる顧客になるべくお得に、望まれる価値を届けたいという考えなのだから、戦略は映像配信専業の事業者とは異なる。
自主制作のオリジナル作品にも投資はするが、オリジナル作で消費者を囲い込むのではなく、他社制作の作品でも会員ニーズが高いと考えられるタイトルならば、そこに大きな投資をする。
児玉氏は「この1年で独占配信の見放題タイトルを7割増やしましたが、一方で昨年、グローバルにいち早く配信した『シン・エヴァンゲリオン劇場版』と契約するなど、会員が観たいと思う国内タイトルにも積極的に投資をしていきます」と、そのモチベーションが顧客目線にあることを強調した。
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