なぜ「ゴロフキンvs村田諒太」は成立したのか アマゾンがPrime Videoに賭ける“ライバルとは異なる想い”:本田雅一の時事想々(2/5 ページ)
4月10日、ボクシングのビッグマッチ「ゴロフキンvs村田諒太戦」が、AmazonのPrime Video会員向けに追加料金なしでライブ配信された。こうした取り組みから読み取れるAmazonの、競合とは異なる戦略とは?
プライム・ビデオと他サービスの違いとは
アマゾンのプライム・ビデオ ジャパンカントリーマネージャーを務める児玉隆志氏は他サービスとの違いを「ファミリーみんなで楽しんでいただけるショッピングモールのような存在」と表現した。
ショッピングモールには100円ショップもあれば、スーパーマーケット、スポーツやカバン、メガネなどの専門店、おしゃれなセレクトショップもある。フードコートにレストラン、さらには映画館や併設されていることもある。
一見、雑多に集まっているように見えるショッピングモールだが、集まる顧客の嗜好に合わせて店の並びや品ぞろえは変化していくものだ。
すなわちアマゾンという巨大なショッピングモールに集まる、さまざまな目的、さまざまな属性の顧客に対する会員サービスプログラムというのがアマゾンプライムの基本であり、プライム・ビデオもその延長線上にあるということだ。
児玉氏は次のように説明する。
「アマゾンでは多くのBlu-rayやDVDを販売しています。その一方で、いますぐに動画を観たいという会員がアマゾンプライムに加入なさっていれば、1万タイトル以上のタイトルを自由にご覧になれます。しかし1万タイトルでは十分ではありませんよね。まだ見放題にはなっていない作品も、ネットを通じたレンタルという形で追加料金はいただきますが、すぐに視聴できるタイトルが数万タイトルあります」
「映像の楽しみ方は多様です。見放題で出会った作品が気に入ってBlu-rayをお買いになる方もいらっしゃいますし、音楽ライブを中継してほしいというニーズもありました。専門テレビチャンネルにアクセスしたい場合は、提携している57のチャンネルにプライム・ビデオからアクセスできます。このように映像を楽しむ方法の幅を、ユーザーのニーズに合わせて広げてきたのがプライム・ビデオなんです」
このように考えると、北米などではすでに開始されていたスポーツのライブ配信を、日本でも開始したのは必然だったと言えるだろう。
もちろん、スポーツ中継は先に人気コンテンツと独占契約を結んでいるライバルもいる。プライム・ビデオが国民的な注目を集めるボクシングのビッグマッチに投資したのは、これからさらにライブ中継に力を入れていくという意思表示だろう。
児玉氏は「もちろん他ジャンルのスポーツも含め、プライム会員の多くが喜んでもらえる競技の放映にも参入していきたいと考えている」と、ライブ中継の充実を明言した。
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