「アコム」に迫る勢いのLINEポケットマネー “10代とやり取り多い40代”は延滞リスクが低い?:金融ディスラプション(1/3 ページ)
スマートフォンを使い、個人向けに与信から貸し出しまでを行う、LINEポケットマネー(LINEクレジット運営)が好調だ。2019年8月のサービス開始から、22年3月末で申込件数が累計100万件を突破した。
スマートフォンを使い、個人向けに与信から貸し出しまでを行う、LINEポケットマネー(LINEクレジット運営)が好調だ。2019年8月のサービス開始から、22年3月末で申込件数が累計100万件を突破した。累計貸付実行額も500億円を超えている。
LINEクレジットサービス企画部の山岡巧部長は、「消費者金融大手に匹敵する件数」だと話す。大手消費者金融アコムの場合、年間の新規申し込み数が60万件程度。2年半で100万件のLINEポケットマネーの規模感が分かる。
キャッシュレス特化の利用体験
LINEポケットマネーの特徴は大きく2つある。1つは、キャッシュレスに特化した利用体験を提供している点だ。これまでの消費者向けローンは、申し込むと銀行口座に入金され、ATMで現金を下ろして現金で支払うという流れだった。返済も銀行口座に現金を入金して行い、現金が主体だった。
一方でLINEポケットマネーは、昨今浸透するキャッシュレスに最適化している。LINEアプリで申し込むとLINE Pay残高にチャージされ、現金を取り扱うことなく、そのままコード決済で支払いが行える。返済もLINE Pay残高から行う形だ。
こうした仕組みでカジュアルなユーザーの取り込みに成功している。1回あたりの平均借入金額は1万円未満が44%、3万円未満が26%と約7割が少額の借り入れだ。入金先も、銀行口座を選択するのは19%に過ぎず、ほとんどがLINE Payへのチャージを選択している。
返済も、決められた返済日に行うのではなく、「返したいときにこまめに返す」随時返済が84%を占める。
普段使い慣れたLINEアプリを使い、スマホで借りて余裕ができたらすぐにスマホで返す。そんな利用体験を実現したことが、ユーザー数増加につながった。
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