ついに129円 円安はいつまで続くのか?(2/3 ページ)
3月に入って始まった円安が止まらない。4月20日には129円30銭まで下落し、1年前の108円30銭と比較すると19%も下落した形だ。特に3月からの下落ペースは著しく、50日ほどで15円(12%)以上も下落している。
米インフレも落ち着く、金利は2.75%程度に落ち着く
まず、なぜ米国で急速な利上げが行われようとしているかといえば、それは激しいインフレを抑え込むためだ。3月に発表された米消費者物価指数(CPI)は前年対比で8.5%と非常に高い水準となった。
国内の値上げはサプライチェーンの混乱と原材料高が原因といわれることが多いが、米国のインフレの理由はそれだけではない。ほぼコロナショック前まで戻ってきた雇用や、コロナ前を超えて大きく伸びた小売売上高など、絶好調な経済状況にある。
「雇用も小売売上高も上に跳ねて過熱感が出てインフレ懸念につながった。金利の正常化は急がなくてはならないというのが米中銀の考え方だ」(以下、カッコ内は神山氏)
しかし、この状況は長くは続かないと神山氏は見る。「米でインフレがさらに進むとは思っていない。今年はインフレの数字は高いが、来年は収まる。長期金利も3%を越えないだろう。政策金利もそれを超えない予想だ」
予想の背景には、インフレの原因の1つである原油高が一過性だという見方がある。原油価格はコロナショック時の1バレル20ドル台からぐんぐん上昇し、現在110ドル近辺で推移している。しかし、これがさらに上がり続けて200ドルになるのではなく、100ドルのままならば、インフレへの影響は小さい。インフレは昨年対比の変動率だからだ。
「インフレ率そのものも穏やかになっていく。(現在の)ワンタイムショックをどのように乗り越えるかが重要だ」
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