ついに129円 円安はいつまで続くのか?(3/3 ページ)
3月に入って始まった円安が止まらない。4月20日には129円30銭まで下落し、1年前の108円30銭と比較すると19%も下落した形だ。特に3月からの下落ペースは著しく、50日ほどで15円(12%)以上も下落している。
これから回復が見込まれる日本経済
一方で、日本の状況はどうか。世界の中でみたとき日本経済は出遅れの状態にある。米英では、コロナ感染者数はまだ高い水準にあるものの、経済という意味では解禁されている。海外旅行などはまだ制限があるが、国内での経済活動は通常に戻ってきた。これが好景気の背景にある。
一方で、日本では旅行や飲食を含め、まだ平常に戻ったとはいいがたい。逆にいえば、今後の伸び代があるということだ。「経済が回復していくプロセスで日本は強い。戻っていくプロセスにおいては、円高方向にプレッシャーがかかる」
コロナからの回復だけでなく、円安による業績好調効果もある。米経済は活況で、日本からの輸出も好調が続いている。もともと円安は輸出企業に追い風になるが、旺盛な米消費需要も併せて、業績にはプラスのインパクトが大きい。「輸出は落ちてこない。すると輸出企業が設備投資を行って、経済にいい影響が生まれる」と神山氏。
こうした経済回復の結果、日興アセットマネジメントでは日本の長期金利について、上昇を予測する。3月末の0.22%から、2023年3月末の予想は0.40%だ。一方で、米長期金利については上昇が抑制されるという見方であり、3月末の予想は2.70%。足下4月18日は、米長期金利は一時2.88%まで上昇したが、その後の急速な上昇を見込まないということだ。
「米国も為替が上がるわりに長期金利が上がらない。日本がいずれ追いつくだろう」
このような観点から、現在進行している急速な円安はいずれ落ち着くと神山氏は見ている。「一方的なドル高円安が続くとは思っていない」。23年3月のドル円の予測は徐々に円高に振れて120円とした。
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