イーロン・マスクのTwitter買収劇、その真実に迫る:世界を読み解くニュース・サロン(1/5 ページ)
イーロン・マスク氏によるツイッター買収劇は、どのようにして始まったのか。マスク氏とツイッター社のこれまでの関係や「敵視」を向けたタイミングなど、ここ数年のツイート内容などから考察する。
宇宙開発に自動運転開発と、起業家としての評価が高いイーロン・マスク氏。
最近でも、宇宙開発の流れで取り組んでいる衛星ブロードバンド通信の「スターリンク」を、ロシアに侵攻されたウクライナにどんどん提供していることが話題になっている(関連記事)。ウクライナではスターリンクをインターネット通信のみならず、ドローンのナビゲーションにも活用しているという。
そんなマスク氏が、新たな話題で注目を浴びている。世界的なソーシャルネットワーキングサービスである「Twitter(ツイッター)」を買収しようとしているのだ。彼の意図とその本気度が、世界中で議論の的になっている。
ただマスク氏の動きを振り返ってみると、彼の言動には考えさせられることがある。現在、一部の巨大IT企業が大きな影響力を保持するインターネットそのもののあり方に、問題提起をしているのである。
マスク氏とツイッターの「関係」
これまでの経緯を振り返ってみると、今回の買収騒動の背景が見えてくる。マスク氏とツイッター社の「関係」は2019年にさかのぼる。当時、同社のジャック・ドーシーCEOがアフリカに注目し、「ビットコインの未来はアフリカに!」という趣旨のツイートをした。そして20年にしばらくアフリカに住むと宣言した。
この言動を見て動いたのが、「物言う株主」として知られる米ヘッジファンドのエリオット・マネジメント。ツイッター社の株式9%を購入し、同社に不利益をもたらすとしてドーシー氏に辞任を要求した。これが大きな話題になった。
ここにカラんできたのがイーロン・マスク氏である。同氏はこの顛末(てんまつ)を見て、「ツイッターのCEOはジャックがいい。彼はいいやつだ」とツイートし、ドーシーの味方であることを宣言した。結局、新型コロナの拡大でドーシー氏のアフリカ移住は取りやめとなった。
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