イーロン・マスクのTwitter買収劇、その真実に迫る:世界を読み解くニュース・サロン(3/5 ページ)
イーロン・マスク氏によるツイッター買収劇は、どのようにして始まったのか。マスク氏とツイッター社のこれまでの関係や「敵視」を向けたタイミングなど、ここ数年のツイート内容などから考察する。
マスク氏によるツイッター買収劇
しかも、である。実はこのツイートの裏で、今回大きく報じられている買収劇は始まっていた。
マスク氏は1月31日から徐々にツイッターの株式を購入し始め、3月14日までに5%を確保。4月4日に米国証券取引所(SEC)に持ち株比率が5%になった際に報告する大量保有報告書が公開されたことで、ツイッター株を購入していることが判明して大騒動になった。一気に9.1%の株式を保有したマスク氏が筆頭株主になった。
するとツイッター社側は、マスク氏が14.9%以上の株式を購入しないことを条件に、同氏を取締役に指名して対応。アグラワル氏は「取締役会に大歓迎する!」とツイートしたが、マスク氏はそんなメッセージもさらっと受け流して、取締役に就任しないことをツイッター社側に伝えた。しかもアグラワル氏のツイートに、手で口を押さえる絵文字で反応した(その後削除)。
完全にツイッター社とアグラワル氏をコケにしている。
さらにここで「敵対的買収」に乗り出す。株価を54.20米ドルに設定し、ツイッター株を100%購入する意思を表明したのである。その総額は430億ドル(約5兆4000億ドル)だ。
その上で、15日に「1株54.20米ドルで買収し非公開化するかどうかは取締役会ではなく、株主が考えるべきでは?」と、再びツイッター上でアンケートを行った。83.5%が「イエス」と答えている。
ただ宣言はしても、買収できるかどうかは分からない。世界一の富豪とはいえ、彼の資産は保有株の評価額なので、実際にツイッター社を買収できるほどの現金を持っているかどうかは分からない。
また取締役会は、「ポイズンピル(毒薬条項)」を導入して、買収を阻止するのではないかと指摘されている。ポイズンビルとは、現在の株主に割安価格で新株を取得できるようにして、マスクの保有株率を低くする買収対策だ。
要するに、自分自身も11年からメッセージを発信するために使ってきたツイッター(17年頃からツイート数は急増)には不満があったが、ドーシー前CEOが「いいやつ」だから正面から敵対することはなかった。ところが、前CEOが株主や取締役会の思惑で去ることになった後に、遠慮のない言動に出ているということだ。
関連記事
- ウクライナ侵攻の裏で何が? イーロン・マスクの“技術”が生命線に
ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、民間企業のある製品が一役買っている。今後の戦況にも大きな影響を与えるといわれるその技術とは……。 - ちょっと前までブームだったのに、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか
どうやら「高級食パン」のブームが終わるようだ。最近、さまざまなメディアがこのように報じているわけだが、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか。その背景には、2つの理由があって……。 - 丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由
またまた炎上した。丸亀製麺が讃岐うどんの本場・丸亀市と全く関係がないことである。このネタは何度も繰り返しているが、運営元のトリドールホールディングスはどのように考えているのだろうか。筆者の窪田氏は「讃岐うどんの看板を下ろしたほうがいい」という。なぜなら……。 - 業界トップの「イセ食品」に衝撃! なぜ卵のように転がり落ちたのか
「森のたまご」などで知られるイセ食品が、債権者から会社更生法を申し立てられた。鶏卵業界のトップがなぜ追い詰められたのか。背景に“つくりすぎ問題”があって……。 - 登山家・栗城史多さんを「無謀な死」に追い込んだ、取り巻きの罪
登山家の栗城史多さんがエベレスト登頂に挑戦したものの、下山中に死亡した。「ニートのアルピニスト」として売り出し、多くの若者から支持を集めていたが、登山家としての“実力”はどうだったのか。無謀な死に追い込まれた背景を検証すると……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.