フィリップ モリス ジャパンのトップ、日本市場の重要性を語る:IQOS イルマ ワンを発売した狙い(1/6 ページ)
日本事業を統括するPMJのシェリー・ゴー社長に日本市場の重要性について話を聞いた。
フィリップ モリス ジャパン(PMJ)は3月、新型の加熱式たばこ「IQOS ILUMA ONE(IQOS イルマ ワン)」を発売した。この商品は従来のIQOS イルマシリーズより価格を抑えたエントリーモデルの位置づけではあるものの、IQOS イルマシリーズは2021年8月に売り出したばかりだ。約半年での新商品投入となった形だ。
今回は、日本事業を統括するPMJのシェリー・ゴー社長に日本市場の重要性について話を聞いた。ゴー社長はこれまでフィリップ モリス インターナショナル(PMI)のマレーシア、中国、香港、台湾、インドネシアの部門で務めた経験があり、アジアの市場を知り尽くしている
インタビューに入る前に、IQOSの数値データを見てみたい。14年に発売したIQOSは、世界のユーザー数が21年12月時点で2120万人と右肩上がりで伸びてきた。紙巻たばこからPMIが販売する煙の出ない製品に切り替えたユーザーは1530万人で、割合として72%を占める。現在、煙の出ない製品は世界71の市場で販売されていて、25年までに100の市場で販売することを目標に掲げた。
加熱式たばこ専用スティックにおける日本国内での出荷本数は、21年第4四半期で81億本だ。シェアは過去最高の21.8%にまで伸びたものの、これはIQOS イルマシリーズの発売が大きいとPMJは分析している。
IQOS イルマを展開した成果では、IQOSユーザーのうち20%以上がIQOS イルマシリーズを使用しているほか、IQOS イルマユーザーの20%は新規での獲得だ。IQOS イルマシリーズ専用たばこスティックであるテリアはすでにシェアが8%に達し、マールボロ ヒートスティックはいまだにシェアトップ(9.8%)ではあるものの、その割合は大きく下がっている。
IQOS イルマ ワンはサイズ12.16センチ、重さ68.5グラムとコンパクトサイズで、1回のフル充電(90分。従来は135分)で20回の連続使用を可能にした。オートスタート・オートストップなどこれまでのIQOS イルマやIQOS イルマ プライムに搭載してきた機能を搭載しないことによって価格を3980円としている。IQOS イルマ(6980円)、IQOS イルマ プライム(9980円)よりも大幅に価格を下げることで買いやすい商品にした。
IQOS イルマワンの位置づけや販売戦略に迫る。
シェリー・ゴー(Shea Lih Goh)。マレーシア生まれ。英国ハル大学にてMBAを専攻、オーストラリアのモナシュ大学にてマーケティングを専攻する。1993 年にフィリップ モリス インターナショナル(PMI)の子会社であるゴッドフレイ フィリップス(マレーシア)Sdn Bhd に入社。その後、香港、中国、台湾、インドネシアにおいて、マーケティング・セールスやマネジメント業務に従事し、数々の要職を歴任する。2013 年にはマレーシアに戻り、マレーシアとシンガポールのマネージング・ディレクター、2016 年にフィリップ モリス アジア リミテッド (香港)でアジアにおけるリデュースド・リスク・プロダクツ担当部門のバイスプレジデントを務めた。2018 年1 月1 日付けでPMJの社長に就任
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