「残業代を抑えたいので固定残業制にしたい」 とある会社の社長がハマった勘違い:メリットとデメリット(1/3 ページ)
「残業代を抑えたいので、すぐにでも固定残業制を導入したいです」――そんな相談をしてきたのは、とある中小企業の社長です。この相談には、どんな勘違いがあるのでしょうか?
「残業代を抑えたいのですぐにでも導入したいです」――そんな相談をしてきたのは、とある中小企業の社長です。どうやらこの社長は固定残業制を導入すると残業代が安くなると思っているようです。この社長のように固定残業制を勘違いしている方は少なくありません。
固定残業制に残業代を抑える効果はほとんどありません。しかも、正しく理解した上で運用していなければ、残業代の未払いが発生してしまったり、そもそも固定残業制そのものが認められなかったり、ということにもなりかねません。この記事では、固定残業制を導入するメリットとデメリット、そして導入のポイントを解説します。
固定残業制とは
固定残業制とは一般に、実際の残業の有無にかかわらず、従業員に対してあらかじめ定めた時間分の残業代を毎月支払う制度をいいます。
ただし、あくまでも“残業代”を固定的に支払う制度であり、「実際に何時間残業しても残業時間は○○時間とする」といったものではありません。従って、あらかじめ定めた残業時間を超えて残業をした場合、その超えた分の残業代を1分単位で支払う義務があるのです。
例えば、毎月20時間分の固定残業代を支払うと決めていたとします。その場合、従業員が全く残業をしなかったとしても20時間分の固定残業代を支払います。一方、従業員の残業時間が30時間だった場合には、固定残業代に含まれていない10時間分の残業代を計算し、追加で従業員に支払う必要があるというわけです。
つまり、固定残業制を採用しただけでは、実際の残業時間で計算した残業代より、従業員に多く支払うことはあったとしても、少なく抑えられるという効果はないのです。また、固定残業制を導入したとしても従業員の労働時間の管理をしなくていいということでもありませんので、適切に把握する必要があります。
固定残業制のメリット
固定残業制を導入するメリットは3つあります。
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