食欲が減退する「青色」なのに、なぜ「青い富士山カレー」は18万食も売れたのか:水曜日に「へえ」な話(3/5 ページ)
青色をした「青い富士山シリーズ」が売れていることをご存じだろうか。カレーもパンもチョコもビールもヒットしている。食欲を減退させる「青色」なのに、なぜ人気を集めているのか。その秘密を取材したところ……。
ファンが増えた要因
そして、完成である。つくるときも、できてからも、周囲からはこのように言われた。「そんなモノ、売れるわけがない」と。それでも外国人には売れるはずと信じて、メニュー表記は英語のみにした。ターゲットを絞りに絞ったものの、反応はいまいち。「あれ、おかしいな。なぜだろう」と思って調べたところ、健康食ブームが影響しているのではないかと考えた。日本にわざわざ来て不健康そうなモノを食べる人は、少ないのではないかと。
その後も、売り上げが伸びない状況が続いたわけだが、何がきっかけで人気に火がついたのだろうか。“インスタ映え”である。現在、さまざまな業界からインスタ映えを狙った商品が出ているので、「食傷気味」「飽きた」「当たり前」といった言葉が浮かんでくるかもしれないが、商品を発売した18年は違っていた。「インスタ映え」は17年に流行語大賞を受賞していて、その波が山梨県の観光施設にも訪れていたのだ。
県外からやって来た人たちが、カフェで「青い富士山カレー」を注文していった。当然、カメラやスマホを取り出して、商品を撮影する。「数カ月で2000〜3000食売れればいいかなと思っていましたが、2カ月で1万食も売れました」(芦澤さん)。また、お土産用や持ち帰り用として「レトルトカレーもつくってくれないか」といった声があって、864円で販売することに。
た、高い。スーパーなどでレトルトカレーは1個100円ほどで販売しているので、周囲から「買う人は少ないのでは? 値付けが間違っているよ」といった指摘もあったが、それでも順調に売れていった。その要因をどのように分析しているのだろうか。
「期待値が低いことが大きく影響していると思っています。青色をしているので、『おいしくない』といったイメージからスタートしている。しかし、食べてみると『あれ、意外においしい』と感じる。この落差があればあるほど驚きも大きいようで、結果ファンが増えていったのではないでしょうか」(芦澤さん)
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