ロシアに進出している企業はどうなる? 撤退は「吉」か、継続は「凶」か:世界を読み解くニュース・サロン(2/5 ページ)
ロシア国内で海外の各企業はどのような対応を取っているのか。大手外国企業1000社以上のロシア国内での動きをウォッチしている、ある研究所のデータによると……。
"ロシア離れ”した日本企業は?
侵攻以降、ロシアとのビジネス関係を縮小すると発表した企業は、実に750社以上にも上る。もちろん、ロシアとのビジネスを続けることを決めた企業もある。
いま、大手外国企業1000社以上のロシア国内での動きをウォッチしている、ある研究所が注目されている。米名門イェール大学経営大学院の研究所「最高経営者リーダーシップ研究所」だ。同研究所の公式サイトでは、ロシアをめぐるキャンセルカルチャーによって企業がどんな判断をしているのかについて調査結果を報告している(参考)。
そこには、日本をはじめ世界各国の企業が網羅されている。研究では、調査員がさまざまなオープンソースのデータや税務関連資料、さらに独自の人脈などで調査した情報をもとに、企業をデータベース化している。
評価では、完全に撤退した企業は「A」、つまり「優秀」と評価されている。完全にロシアとのビジネスを終了したか撤収した企業は、現在のところ世界で318社ある。日本企業も1社名前がある。冒頭のミャンマーのニュースでも登場した「エネオス」だ。
次のランクは「B」で、ほぼ全ての事業を停止した企業。世界で411社ある。日本企業だと、トヨタ、ホンダ、日産、パナソニック、ソニー、ブリヂストン、キヤノン、富士通など30社が記載されている。
「C」は事業を縮小した企業で、世界で121社ある。日本では、出光興産、丸紅、三菱UFJフィナンシャルグループなどがリスト化されている。次に評価の低い「D」は「新規事業は禁止」にした企業。つまり時間稼ぎをしている、と指摘されている企業で、143企業ある。日本企業は三井住友フィナンシャルグループ、KDDI、東芝、日本タバコなどが挙げられている。
そして最低ランクは「F」。いうなれば落第で、撤退すべきであるという活動や風潮に抵抗している企業がリストされている。その数は216社あり、日本なら伊藤忠商事が入っている。同社はロシアで石油関係のビジネスを行っているので、すぐに撤退というわけにはいかないのだろう。またNTT、NTTデータ、みずほフィナンシャルグループ、東京電力も「F」に含まれる。
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