不人気部屋が人気部屋に! なぜ「トレインビュー」は広がったのか:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(7/8 ページ)
鉄道ファンにとって最高の「借景」が楽しめるトレインビュールーム。名が付く前は、線路からの騒音などで不人気とされ、積極的に案内されない部屋だった。しかし鉄道ファンには滞在型リゾートとなり得る。トレインシミュレーターや鉄道ジオラマなど、ファンにうれしい設備をセットにした宿泊プランも出てきた。
実際に、トレインビューを一歩進めて、部屋のインテリアを鉄道テーマにするホテルも現れている。渋谷エクセルホテル東急は6月30日まで「トレインシミュレータールーム」「懐かしの東急(鉄道部品展示)ルーム」「鉄道ジオラマルーム」を提供する。
JR東日本グループのホテルメトロポリタンも9月30日まで、都内4ホテルで「トレインシミュレータールーム」を販売する。浅草東武ホテル、ルネッサ赤沢(伊豆急グループ)もトレインシミュレータープランを提供中。相鉄フレッサイン 横浜駅東口は「相鉄線今昔 鉄道コンセプトルーム」、ホテル阪急インターナショナルはトレインビュー確約プランで電車形チョコレートケーキを提供する。
鉄道事業者はホテル事業も展開しているから、鉄道コンセプトルームも実施しやすく充実している。それだけに付加価値も高く料金もそれなりだけど、リゾートで遊ぶ感覚だから納得できよう。
トレインビューホテルの歴史は、「クチコミ時代」「ホテルのトレインビュー販売時代」を経て、「ホテルを鉄道コンセプトにデザインする時代」になった。もはや不人気部屋の片鱗はない。ビジネスホテルもアイデアしだいでリゾートになる。このような取り組みは東京ベイ東急ホテルと日本航空株式会社がコラボした「ウイングルーム」ほか、アニメとコラボした部屋などもある。
鉄道の場合は「線路際の部屋を景色だけで売る」というアイデアが面白い。飾れば付加価値を上げられる。しかしトレインビューは線路際の窓があればいい。これは不動産にも通じそうだ。鉄道人気があればこそ、窓から線路が見えるマンションやオフィスにチャンスありだ。殺風景? 騒がしい? いや、それが好きな人がいる。その市場が見えたらビジネスになる。
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