DeNAはなぜ「退職者」を新卒採用イベントに登壇させるのか:「起業志望者」も採用する理由(4/4 ページ)
「退職」――この言葉はどちらかというとネガティブに受け取られがちなものだろう。しかし、退職者をあえて採用イベントに呼んで、語ってもらうという風変わりな企業がある。DeNAだ。
「新卒採用部」の部署名から「採用」を消した
退職者をイベントに登壇させたり、メンターによる深掘りで気づきを得させ、入社するかしないかを本人に選択させたり、“新卒”採用の年齢制限がなかったり、起業予定者や寄り道経験者大歓迎だったりと、さまざまな部分で他社とは一線を画している感のあるDeNAの採用活動。
他社との違いは部署名からもうかがい知ることができる。というのも、今回取材に応じてくれた小川氏と山川氏の所属する部署は「ヒューマンリソース本部 新卒採用部」ではなく、「ヒューマンリソース本部 新卒部」。「採用」の文字がないのだ。
「採用の文字を部署名から取ったのは、私たちの責任は、採用することだけではないから」と小川氏。「候補者にとって大切なのは入社するまでではなく、入社後の人生そのもの。そこまで責任を取りたいとのことで、部署名を変更した」と説明する。
それでも小川氏は「ここまで話してきたこと全てができているとは思っていない」と言う。「やりきれていないけれど、取り組んでいきたいことも含んでいる」と明かした。
「ただ、自由な採用は、数年前から今の形で行っている。社会がどんどん変化している中で、大学卒業時、大学院卒業時のタイミングでのみ採用するような仕組みは時代遅れになってきている。
当社のような採用方式が世の中に浸透していけば、多様な人材が未知の領域に生き生きと挑戦できるようになるのではないか。Delightを届けて世の中を輝かせられる会社が、人が増えてくるのではないかと考えている。そのためにも自信を持って、胸を張って、このような活動をしていますと言えるようになっていきたい」(小川氏)
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