重要ポストなのに、後継者がいない──管理職“候補”不足の企業が始めるべき「サクセッションプラン」とは:連載「情報戦を制す人事」(2/4 ページ)
管理職“候補”不足で、数年後には管理職が不足する──そんな課題に、企業はどう対処しておくべきでしょうか。人材不足に陥らないための「サクセッションプラン」の考え方と、その方法を解説します。
一般的に、ポストに新たな人を配置する必要がある場合、外部採用か社内登用を行います。言い換えると、この外部採用と社内登用が難しいポストについてはサクセッションプランを行うことで、将来にわたり計画的に人を配置できる可能性を高められるというメリットが発生します。具体的には以下のようなポストが該当します。
- 会社固有で短期のキャッチアップが難しいスキルを求められるポスト
- 既存の従業員の自然な成長では、数と質の面で充足できないポスト
一例として、今後5年で顧客数が大幅に増えることが想像される、成長中の製造業A社について考えます。
A社では製品を開発、販売するだけでなく、顧客が利用する製品を保守するサービスも提供しており、サービスから得られる収益も事業の柱となっています。保守サービスを実施する部署は顧客ごとに複数のチームで形成され、各チームを率いるマネジャーにはA社特有の深い製品理解、顧客理解が必要です。そのため、外部採用による充足が難しいとされています。
今後5年で顧客数が増大すると、それに比例してチーム数も増やす必要があり、結果としてチームマネジャーも現在の数より増やさないといけません。
A社の保守サービス部長と人事部が共同で予測したところ、5年後までこれまで通りの事業運営をした場合、5年後に保守チームのマネジャーポストに登用できる人材は3/5人と、必要数を補いきれない可能性が高いことが分かりました。当ポストが充足していることは経営課題上重要であるという判断から、A社ではチームマネジャーを対象ポストとしてサクセッションプランを行い、従業員の成長スピードを速め、ポストが充足されている状態を作り出そうとしています。
このように外部採用や社内登用が難しい重要ポストについては、サクセッションプランを行うメリットが特に大きくなります。
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