4月に「雇用調整助成金」制度がリニューアル 助成額の増額など3つの変更点を解説:6月30日まで適用(3/3 ページ)
コロナ禍で認知が広がった「雇用調整助成金」。コロナ禍という特殊な環境下において、失業回避への取り組みの重要性が増したため「緊急対応期間」を定め、提出書類の簡素化、申請ルールの緩和、助成額の増額などの措置を講じ、2022年4月にリニューアルした。今までどう違うのか? 3つのポイントにまとめて解説していく。
3. 休業対象労働者を確認できる書類および休業手当の支払いが確認できる書類の提出
雇用調整助成金は、支給の迅速化のため緊急対応期間を設けて添付書類などを軽減しましたが、副作用として不正受給が増え20年9月〜21年12月末までで支給取消となった件数は261件、金額にして約32.3億円(緊急雇用安定助成金含む)と発表されています。
主な不正の例として以下のようなものがあります。
- 雇用関係のない者を雇用関係があるとした
- 休業の実態がないのに休業したとした
- 休業手当を支払った事実がないのに支払ったこととした
これらの不正を予防することが、この項目の目的で以下のAおよびBの書類の写しの添付が毎回、必要になります。
A:源泉所得税の直近の納付を確認できる書類
給与所得・退職所得などの所得税徴収高計算書の領収日印があるものや、納付を確認できる領収日印があるものなどが必要です。
B:給与振込を確認できる書類
給与振込依頼書や給与支払いを確認できる通帳などが該当します。手渡し現金払いの労働者がいる場合は会社名・金額・氏名(労働者の直筆)・住所・電話番号・受領日を明記した領収証が必要です。
迅速支給の観点から雇用保険の適用が1年以上の事業主については添付不要となっていますが、審査段階で提出を求められる場合があります。特に給与を現金で手渡ししている場合、Bの要件を満たすような受領証にしておきましょう。
適用は、業況特例における業況の毎回確認と同様に、22年4月1日以降に初日がある判定基礎期間の申請から適用されます。
今の緊急対応期間はいつか終わりますし、ちょっとしたルール変更の都度、申請書の書式が変わりますので、常に厚生労働省のホームページで最新の情報を確認するようにしましょう。
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