日本では「苦戦」しているのに、なぜ米国のラウンドワンは「コロナ前」以上なのか:週末に「へえ」な話(1/4 ページ)
ラウンドワンが苦戦している。2022年3月期も赤字を計上したわけだが、仕方がない側面もある。新型コロナの感染である。逆風が吹き荒れている中で、米国の事業は好調だという。現地の人に受けているのは、何かというと……。
日本では苦戦が続いているのに、米国では「好調」な企業がある。ボウリングやアミューズメント(ゲームセンター)など複合施設を運営するラウンドワン(大阪市)である。
「本当に? ボウリング人気が高まっているなんて聞いたことがないし、コロナ禍で客も減っただろうし。にもかかわらず、米国が好調ってどういうこと?」と思われたかもしれない。
2022年3月期(21年4月〜22年3月)の決算を見ると、売上高は964.2億円で、コロナ前の20年3月期(19年4月〜20年3月)と比べると、8億円の減少。営業利益は17.2億円の赤字なので、苦戦が続いている。
景気のいい数字が並んでいないが、国別にみると、話がちょっと違ってくる。99店舗を展開している日本の売り上げは637.2億円で、コロナ前と比べて25.5億円も減少しているが、46店舗を構える米国は321.3億円で、コロナ前を2.1億円上回っているのだ。
日本ではまだまだなのに、米国ではなぜ回復しているのか。日本に比べて、米国は経済優先に向けた動きが急速に広がったことも大きく、街中でマスクをしている人は少ないし、さまざまな規制が緩和されていった。いわゆる「リベンジ消費」の傾向がうかがえるわけだが、ラウンドワンの米国事業が好調なのはそれだけではないようである。日本と米国の売上構成比をみると、違いがあったのだ。
ラウンドワンといえば、「ボウリング」を想像する人が多いかもしれない。実際、建物の上にボウリングのピンがどーんとのっているところもあるので、そのように感じている人が多いのもうなずける。しかし、売上構成比をみると、国内は22%ほどに対して、米国ではわずか12%にとどまっているのだ。では、米国ではどの事業で稼いでいるのかというと、ゲームである。全体の75%はゲーム事業でたたき出しているのだ。
となると、気になるのは、現地の人はどんなゲームを楽しんでいるのかである。日本では楽しめない、最新のゲームが流行っているに違いないと思って、現地の担当者に聞いたところ、クレーンゲームや音楽ゲームが人気を集めているという。具体的なタイトルをあげると、UFOキャッチャー、ダンスダンスレボリューション、太鼓の達人などである。日本でも楽しめるし、最新ではない。いや、むしろ「なぜ、いまなの?」といったゲームが人気を集めているのだ。
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