日本では「苦戦」しているのに、なぜ米国のラウンドワンは「コロナ前」以上なのか:週末に「へえ」な話(2/4 ページ)
ラウンドワンが苦戦している。2022年3月期も赤字を計上したわけだが、仕方がない側面もある。新型コロナの感染である。逆風が吹き荒れている中で、米国の事業は好調だという。現地の人に受けているのは、何かというと……。
クレーンゲームが人気
日本のゲームセンターで遊び慣れている人からすると、「なにそれ。古いよ」と感じられたかもしれないが、米国で暮らす人にとっては「新鮮なゲーム」として受け止められているようだ。例えば、クレーンゲーム。米国にもあるにはあるが、ちょっと違う。「2本爪でつかんで落とす」というシンプルなモノが多く、中にはアームのチカラが強くて簡単にとれる機種もある。
一方、日本製のモノは、3本爪もあれば、2本爪もあれば、1本爪もある。アームの握力もそれぞれ違ってくるので、景品も取りにくくなっている。そこでワザが必要になってくるわけだが、それが現地の人にとっては「新鮮な体験」として受け止められているのだ。
米国事業を担当している加地眞太郎COOに聞いたところ、「クレーンゲームの管理は難しいんです。景品はとれそうでとれないようにしたり、逆に、とれなさそうにしてとれやすくしたり。と同時に、キレイに並べなければいけませんので、スタッフの腕によって違いがでてきますね」とのこと。
ゲームのほかに、米国で気になるサービスがある。大人数で楽しむことができるパーティールームだ。現地の人はどのような使い方をしているのかというと、最も多いのは「子どもの誕生日パーティー」だという。同社が米国に進出したのは、2011年のこと。当時、お客から「子どもの誕生日会を開きたいから、大きな部屋を貸してくれないか?」といった声があった。
日本ではそうした要望があまりなかったので、不慣れながらも部屋を貸したところ、どういったことが起きたのか。部屋の中で飾り付けを始めたのだ。壁にリボンを付けたり、風船を膨らませたり、テーブルクロスの色を変えたり。子どもの誕生日を祝うために、親はさまざまことを行う。この光景を見たときに、加地さんは「自分たちが代行でやるのはどうか」と考え、オプションを用意した。
部屋の飾りつけだけでなく、その後も、サービスを追加していった。料理をつけたり、ゲームを楽しめるようにしたり、ボウリングをできるようにしたり。施設内で遊び放題・食べ放題といったフルプランを用意した一方で、簡易的なプランも提供した。繰り返しになるが、日本にはなかったサービスだったので、当初は「こんな感じでいいのかな?」といった形で始めたところ、「あれも、これも」といった声がでてきて、そのたびに改善をしていき、サービスを充実させてきた経緯がある。
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