日本では「苦戦」しているのに、なぜ米国のラウンドワンは「コロナ前」以上なのか:週末に「へえ」な話(3/4 ページ)
ラウンドワンが苦戦している。2022年3月期も赤字を計上したわけだが、仕方がない側面もある。新型コロナの感染である。逆風が吹き荒れている中で、米国の事業は好調だという。現地の人に受けているのは、何かというと……。
最後までやるかやらないか
冒頭でも紹介したように、米国の売上構成比を見ると、ボウリングは12%である。米国で生まれたスポーツは、娯楽の多様化などによって、人気の低迷が続いている。とはいえ、ボウリングをする人はそこそこいるわけだが、日本と米国で楽しみ方に違いはあるのだろうか。
加地さんに尋ねたところ、「最後までやるかやらないかの違いがある」という。ん? どういう意味なのか? ボウリングは1ゲームに10フレームあって、ピンを倒した本数の合計を競うスポーツである。にもかかわらず、「最後までやるかやらないか」とは、どういう意味なのか。
「米国ではボウリングをメインで楽しむ人は少なくて、飲食を楽しんで、その合間にボウリングをする人が多い」(加地さん)そうだ。ビールを飲みながら、ピザを食べながら、ボールを投げるといった感じである。ということもあって、食事が終われば、そのまま帰ってしまうことも珍しくない。ディスプレーに表示されているスコアを見ると、途中でとまったまま。テーブルには飲みかけのコップなどが残ったまま、誰もいないといった光景である。
日本でも何らかの理由によって、途中で帰る人もいるだろうが、筆者はそのような話を聞いたことがない。「ボウリングしようぜ」という話になったら、3ゲームほどボールを投げ続ける。途中、ジュースを買って、少し休憩を挟むものの、ビールを飲みながら、たこ焼きを食べながら、ボールを投げたことはない。そして、最後まで投げ続け、勝負の白黒をつけるのだ。
とまあこんな感じで、国が違えば、ラウンドワンの中で楽しむ人の行動も違うようである。先ほどチラっと触れたように、同社が米国に進出したのは、2011年のこと。東日本大震災で打撃を受けたこと、人口減によってマーケットが縮小していること、こうした理由によって米国に進出し、現在は46店舗を構えている。これまですべての店舗は、ショッピングセンターの中で展開してきたわけだが、ここにきて大きな課題がでてきた。それは、出店場所である。
米国で新たにオープンするショッピングセンターは少なく、できたとしてもそこに出店できるかどうかは分からない。となると、これまでと同じような戦略を続けることは難しく、どこかのタイミングで日本のようにロードサイドに店を構える日がくるかもしれない。いや、ショッピングセンターでもなく、ロードサイドでもないところで出店する日がくるかもしれない。次の一手を考えると、これまでとは違った新たなチャレンジが求められそうである。
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