「おとり物件」で疲弊する住まい探し 4人に1人が遭遇した可能性:年間約30億円の被害(1/2 ページ)
住まいを探す際、「おとり物件」に遭遇する人が絶えない。LIFULLの調査によれば、おとり物件に遭遇した可能性がある人は4人に1人。おとり物件のために使った交通費の総額を試算すると、年間約30億円にも上ることが分かった。
仕事に役立つ調査データ:
消費者の傾向、若者の価値観、働き方の変化――このコーナーでは、ビジネスパーソンの働き方や企業の戦略立案に役立つようなさまざまな調査データを紹介していく。
住まいを探す際、「おとり物件」に遭遇する人が絶えない。
おとり物件とは、実際には存在しない物件、または成約済みにもかかわらず、不動産会社のWebサイトなどに情報が掲載され続けている物件のことだ。
近年は取り締まりも強化され、集客のために架空物件の広告を掲載するような悪質な業者は減少傾向にある。とはいえ、成約情報の入力ミス、更新遅延の結果として、おとり物件の広告が掲載されているケースは後を絶たない。首都圏不動産公正取引協議会の調査(2022年1月)によると、調査対象物件のうち1割以上がおとり物件だったという。
4人に1人が、おとり物件に遭遇した可能性
生活者側から見たおとり物件の問題点は、問い合わせや内見にかけた時間と労力、費用が無駄になってしまうことだ。LIFULLの調査によれば、おとり物件に遭遇した可能性がある人は4人に1人。おとり物件に引っ掛かった人が、不動産屋に訪れたり内見をしたりするために使った交通費の総額を試算すると、年間約30億円にも上ることが分かった。
おとり物件の広告が掲載され続ける原因は、不動産流通機構が運営する不動産流通標準情報システム「REINS(Real Estate Information Network System、レインズ)」の仕組みにある。
不動産会社は、レインズ上の物件情報を参照して自社のWebサイトなどに広告を掲載しているのだが、レインズに登録されている物件情報が間違っていたり、最新でなかったりする可能性がある。また、レインズ上で成約情報が更新されていても、不動産会社のWebサイトが更新されていないと、結果としておとり物件となってしまう。
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