シリーズ10万台も売れた! 「おりょうりケトル ちょいなべ」誕生のきっかけは?:あの会社のこの商品(3/6 ページ)
パッと見たところ電気ケトルなのに調理も可能なモノが、この数年間でいろいろ登場している。先鞭をつけたのは、シロカの「おりょうりケトル ちょいなべ」。調理家電で新ジャンルを確立したこの商品は、なぜ生まれたのか? 同社の開発担当者とマーケティング担当者に話を聞いた。
プラスマイナス5度の範囲で温度を制御
開発に要した期間は9カ月ほど。推察された故障原因から、丸洗いできることを必須とした。
「電気ケトルは基本的に、水の温度を直接測るNTC温度センサーを内蔵しています。ただ、丸洗いできるようにすると、ケトルには取り付けられなくなります」
このように話すには、開発部開発グループ マネジャーの田中哲生氏。そのため、NTC温度センサーは本体に搭載し、温度はケトルの底で測定することにした。
問題は、このやり方で水温を測定すると外気温、鍋の素材の厚さや塗膜の厚さなどの影響を受けやすいこと。測定結果にバラつきが生じてしまう。
「あらゆる条件下でお湯を沸かして温度を測定することを繰り返してデータを集め、その結果から閾(しきい)値を決めてプログラムに反映させるのは大変でした。季節や沸かす直前の水温もバラつきの要因。冷水から沸かすのと常温の水から沸かすのでは、ケトル内部の水温とケトルの底のNTC温度センサーで検知する温度の精度が変わります。バラつきが出ないよう何百回もテストしてヒーターをON/OFFするタイミングを決め、閾値を決めてプログラミングしています」(田中氏)
また、開発の早い段階で、温度調節機能の搭載を決めた。40、60、80、100度と4つの温度を設定できるようにしたが、設定温度がプラスマイナス5度の範囲で収まるよう制御することを目標にしてきたという。
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