シリーズ10万台も売れた! 「おりょうりケトル ちょいなべ」誕生のきっかけは?:あの会社のこの商品(4/6 ページ)
パッと見たところ電気ケトルなのに調理も可能なモノが、この数年間でいろいろ登場している。先鞭をつけたのは、シロカの「おりょうりケトル ちょいなべ」。調理家電で新ジャンルを確立したこの商品は、なぜ生まれたのか? 同社の開発担当者とマーケティング担当者に話を聞いた。
安全や使いやすさを配慮
温度管理は開発でこだわったことの1つ。経営企画室ブランドマーケティンググループ グループマネジャーの●野(●は龠鳥:ひばり)拓人氏は次のように話す。
「温めるところが広いので温度のバラつきが起きやすいことから、温度を極力一定にできる制御に力を入れました。どういう状況でも100度のお湯が沸かせることは、電気ケトルとして最低限のことであり、お客様が電気ケトルに求めていること。これを実現するのに相当苦心しました」
容量は当初、現在より小さい800ccで考えていた。ヒーターは熱容量80ワットのシーズヒーターであったが、インスタントラーメン以外の料理もできるようにすること、お湯の沸騰スピードを一般的な電気ケトル並みにすることから、熱容量1200ワットのシーズヒーターに変更する。
ただ、サイズを変えることなくヒーターの熱容量を変えると熱容積が足りなくなり、加熱したときに本体が熱くなりすぎてしまう危険性があった。そのため、容量を現在の1リットルに拡大した。
普段の調理に使うものなので、安全や使いやすさへの配慮も無視できない。安全面については、ケトル側面に手が触れないようケトルと取っ手の間に取っ手のデザインを利用したカバーを取り付けた。使いやすさについては丸洗いのほか、ケトルの接地面を浮かすようにデザイン処理された樹脂部分を底面に追加することで食卓にそのまま置けるようにしたり、女性でも1リットルのお湯を簡単に持ち運べるよう取っ手の太さと形状、配置を検討し、デザインした。
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