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ワークマンの靴専門店、業界一強「ABCマート」の牙城を崩せるか:磯部孝のアパレル最前線(4/5 ページ)
ワークマンは4月1日、スピンアウトさせた新業態「ワークマンシューズ」が、大阪市の商業施設「なんばCITY」オープンした。日本のシューズ市場はエービーシー・マート一強の時代が続いている。その理由とは?
市場は「横ばい」支出額はコロナ禍で「激減」
そもそも日本の履物市場は18年時点で1兆3680億円(矢野経済研究所調べ)と、過去十数年横ばい傾向にある。総務省がまとめた家計調査によると、2人以上の世帯の履物類消費支出は、2000年の2万1811円から、03年には1万9047円にまで減少。しばらく横ばいを続けた後、14年に再び2万0397円を記録。そして直近では1万4823円と大きく支出額を減らしている。
履物類の支出額が減少した03年は、イラク戦争が始まり、株価も為替も大きく変動した年だ。3月に1ドル121.86円だった為替は、12月には1ドル106円まで円高が進んだ。振り返れば、現在まで長引くデフレ経済の入り口だったような気がする。
その回復の兆しが見えたのが14年。消費税が3%引き上げられて8%となり、増税前の駆け込み需要も話題となった。また、日本のデフレ経済と円安も手伝って、外国人観光客が1341万人となり、インバウンド産業が盛り上がっていた時期だ。
ここ2年の減額は、明らかにコロナ禍によるもの。旅行やオフィス出勤といった外出機会の減少が大きく影響したのだろう。21年の年間支出額である1万4823円は、14年比から見ると5574円のマイナス。2人以上の世帯数全体では、総額1億7千万円もの支出額の減少と履物業界へのインパクトは大きかったと推察できる。
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