コロナ禍で株価が急落──アイスタイル菅原CFOは、“株価の波”をどう乗り越える?:対談企画「CFOの意思」(1/3 ページ)
「CFOの意思」第2回の対談相手は、アイスタイル取締役CFO・菅原敬氏。2015年の株価上昇、19年の下落にCFOとしてどう対応し、策を練ったのか。ファイナンス分野は「ほぼ未経験」でも、CFOとしてIPOをリードできた秘訣とは? グロース・キャピタルの嶺井政人CEOとの対談。
連載:対談企画「CFOの意思」
ベンチャーの成長のカギを握る存在、CFO(最高財務責任者)。この連載では、上場後のスタートアップの資金調達や成長支援を行うグロース・キャピタルの嶺井政人CEOが、現在活躍するCFOと対談。キャリアの壁の乗り越え方や、CFOに求められることを探る。
「CFOの意思」第2回の対談相手は、アイスタイル取締役CFO・菅原敬氏。2015年の株価上昇、19年の下落にCFOとしてどう対応し、策を練ったのか。ファイナンス分野は「ほぼ未経験」でも、CFOとしてIPOをリードできた秘訣とは?
前編ではCFOとして向き合ってきた壁や、コンサル出身だからこそ発揮できたという強みに迫る。
嶺井: 菅原さんは04年からアイスタイルにフルタイムで参画され、10年にCFOに就任されました。12年に上場してから、今年で10年。決して平たんな道のりではなかったと思います。
株価の変動も気をもまれたのではないでしょうか。例えば、15年の急激な上昇や、19年の落ち込みなどですね。どのようにこの波に向き合ってこられましたか。
菅原: 15年の株価上昇は、中国の越境ECが立ち上がったタイミングでした。具体的には著名な海外投資家であるキャピタル・グループによる買い入れが呼び水になったと考えていますが、さまざまな海外投資家がアイスタイルの株を買うようになったことがきっかけでした。もともと、もっと時価総額の低い頃からベイリー・ギルフォードのような名門投資家と呼ばれるような人たちが投資してくれていたことも影響しています。
ただ、発行体である事業会社が、株価をコントロールすることはできないし、投資家へコミュニケーションを取りたいと考えても、実現するわけではない。それは投資家が決めることです。会社は、投資家が動いてくれるには? と考えて、仕掛けづくりをしていくしかないんです。
国内で4000弱ある上場企業のうち、半分ほどは流動性が非常に低い、トレーディングボリュームが少ない会社です。それは株式市場の中で忘れられていることを意味しています。
この状態ではファイナンスや株式交換でのM&Aといったコーポレートアクションを考える上でマイナスですし、言わずもがな新規の投資家を呼び込む上でも買いたいときに買えない、売りたいときに売れない株式です。そのため、会社に魅力を感じてもらっても株を買ってもらうことができません。
こういった状態に陥らないよう、ロングオンリーの機関投資家との面談だけでなく、個人投資家や国内外のヘッジファンドとも積極的に接点を持ち、空売りでもいいので株を動かしてもらえるように働きかける。そして流動性を生み出していくことに当社のIRチームは注力しています。
嶺井: なるほど。ただ著名な海外投資家に買われて株価が上がったというシンプルな話ではなく、あらゆるタイプの投資家を巻き込みながら出来高、株価を形成してきたということですね。19年に株価が下落したときはどうですか。
関連記事
- 「嫌われる役割」「CEOとは“元親友”」──アイスタイル菅原氏が語るCFO像
前編に引き続き、第2回の対談相手はアイスタイルの菅原敬CFO。CFOとは「嫌われる役割」と語るその真意とは。ファイナンスは「ほぼ未経験」でCFOを務めることになったのはなぜなのか? - 経営会議で毎月の決算報告をしているが、経営チームの反応が薄い……何が足りない?
【Q】毎月の経営会議に経理部門の代表として参加し、決算報告を行っているのですが、聞き手である経営チームの反応が薄いです。【A】経営チームが最も興味を持っているのは、実は…… - 「優秀でも残念でもない、普通社員」の異動に、人事が関心を持たない──何が起きるのか
社員の異動を考える際、人事部が真っ先に関心を持つのは「優秀社員」と「残念社員」。その間にいる大多数の「普通社員」は後回しにされがちという実態がある。しかし、この層への取り組みを疎かにすると、ある懸念が生まれる。 - 幹部候補か、“万年ヒラ”か キャリアの分かれ目「30代以降の配置」を、人事はどう決めている?
「育成」の観点から異動配置させる20代が過ぎると、多くの企業は「幹部候補の優秀人材」と「それ以外」の社員を選別します。人事は、そうした異動配置をどのように決めているのでしょうか。年代層別の異動配置のロジックをみていきます。 - 「優秀だが、差別的な人」が面接に来たら? アマゾン・ジャパン人事が本人に伝える“一言”
多様性を重視するアマゾン・ジャパンの面接に「極めてだが優秀だが、差別的な人」が来た場合、どのような対応を取るのか。人事部の責任者である上田セシリアさんに聞いた。 - 「部下を育てられない管理職」と「プロの管理職」 両者を分ける“4つのスキル”とは?
日本企業はなぜ、「部下を育てられない管理職」を生み出してしまうのか。「部下を育てられない管理職」と「プロの管理職」を分ける“4つのスキル”とは? 転職市場で求められる優秀な管理職の特徴について解説する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.