コロナ禍で株価が急落──アイスタイル菅原CFOは、“株価の波”をどう乗り越える?:対談企画「CFOの意思」(2/3 ページ)
「CFOの意思」第2回の対談相手は、アイスタイル取締役CFO・菅原敬氏。2015年の株価上昇、19年の下落にCFOとしてどう対応し、策を練ったのか。ファイナンス分野は「ほぼ未経験」でも、CFOとしてIPOをリードできた秘訣とは? グロース・キャピタルの嶺井政人CEOとの対談。
菅原: 15年に当社では4カ年の中期計画を立てました。1〜2年目にかけては好調でしたが、その後が計画通りにいかなくなりました。4年目、改善が見られ、もう少し攻めていこうとしたタイミングでコロナ禍に入ってしまったんです。
嶺井: ちょうど香港でデモもありました。
菅原: 香港に出店していましたからね。ちなみに株価下落の理由はもう一つあります。20年1月に満を持して原宿駅前に旗艦店「@cosme TOKYO」をオープンしたのですが、その2カ月後にコロナ禍に突入し、インバウンドをはじめとする人の流れがストップしてしまい大きな打撃を受けました。
そして海外では複数のM&Aを行った後でしたので、当時は財務的にどのように安定させるのか、というのが悩みでした。
嶺井: 外的要因が重なったんですね。
菅原: 海外事業の多くは売却するなどして、一気に畳むことにしました。コロナ禍前から銀行融資もかなり活用したのですが、コロナ禍でメインバンクを入れ替えることになり、まるで上場審査のような本店による審査が実施されました。
嶺井: コロナ禍で状況が大きく変わり、銀行も慎重に見ていたんですね。
退職者が増加 士気が下がった組織への対応が急務に
菅原: そして、コロナ禍での対応負荷や士気の低下により、退職者が増えてしまいました。
このままではいけないと、既存の外部広報チームとは別に社内向け、インナーコミュニケーションチームを作って社内コミュニケーションを促進し、今まで以上に部門間の隔たりをなくし横連携が進むようにしました。また、情シスをテクノロジーチームからコーポレート側、CFO直下に持ってきて、社員に生産性を高める仕事に優先的に取り組んでもらうようにしたことで社員の負荷の軽減につなげるなどあらゆる対処をしました。
こういった壁を乗り越えていく中で、コロナ以前よりも会社に一体感が少しずつ出てきたように感じます。そしておかげさまで、昨年度の第4四半期で営業黒字を達成し、今期はさらなる業績回復を目指しているところです。
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