「裁量労働制=悪」ではない うまく運用できる企業の“4つの特徴”:これからの「労働時間」(3)(1/4 ページ)
働きすぎによる健康被害の懸念など、批判されることの多い「裁量労働制」。しかし、柔軟な働き方に満足している人も多い。うまく運用できる企業とそうでない企業の違いはどこにあるのか。実際の事例を参考に、人事ジャーナリストの溝上憲文氏が解説する。
コロナ禍で働く時間の柔軟化が進み、裁量労働制に注目が集まっている。働き過ぎによる健康不安の懸念もあるが、柔軟な働き方に満足している人も多い。
厚生労働省の「裁量労働制実態調査」(2021年6月25日)によると、裁量労働制の満足度は、「満足している」が41.3%、「やや満足している」が38.7%と満足度が高い(専門型)。
満足の理由で最も多かったのは「時間にとらわれず柔軟に働くことで、ワークライフバランスが確保できる」。続いて「仕事の裁量が与えられることで、メリハリのある仕事ができる」「効率的に働くことで、労働時間を減らせる」という順だった。
厚生労働省の「これからの労働時間制度に関する検討会」が行ったヒアリングで企画業務型裁量労働制(企画型)のBさん(輸送用機械等製造業)はこう語っている。
裁量労働制のメリットは、時間にとらわれず質や成果を追求できる点であり、能力発揮・向上や生産性向上につながっていると感じている。また、企画のフェーズに応じて労働時間を自分自身で決定できる点。デメリットは、恒常的に忙しい職場の場合、過重労働が懸念されること。上司の仕事の与え方やマネジメントが重要(2021年11月29日)
自由度の高い働き方に満足しているが、基本的に裁量労働制の対象者は管理職ではない。そのため職場の仕事量や上司の仕事の与え方などソフト面が働きやすさに影響することを示唆している。
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