ニュース
「裁量労働制=悪」ではない うまく運用できる企業の“4つの特徴”:これからの「労働時間」(3)(4/4 ページ)
働きすぎによる健康被害の懸念など、批判されることの多い「裁量労働制」。しかし、柔軟な働き方に満足している人も多い。うまく運用できる企業とそうでない企業の違いはどこにあるのか。実際の事例を参考に、人事ジャーナリストの溝上憲文氏が解説する。
裁量労働制の導入を検討する場合は
コロナ禍を契機にリモートワークやフレックスタイムなど自由度の高い働き方を経験した人が増加し、ウィズコロナ時代でも自由度の高い働き方に対するニーズはますます高まっていくと予想される。社員の働きがいの向上や人材獲得の面でも重要なファクターとなりつつある。
今後、裁量労働制の導入を考えている企業は、一足飛びに導入するよりも、まずはコアなしフレックスタイム(月間フレックスタイム)を導入するのが良いだろう。その中で的確な労働時間管理の下で社員の自律的な仕事の進め方などセルフマネジメント能力を養い、そのうえで裁量労働制の対象社員を限定して導入し、徐々に適用対象者を増やしていくのがうまく進める方法の一つだ。
その際に何よりも重要なのが仕事量や仕事の進め方など裁量性について上司と認識を一致させることである。人事部もそうした点に留意した運用を心掛けるべきだろう。
著者プロフィール
溝上憲文(みぞうえ のりふみ)
ジャーナリスト。1958年生まれ。明治大学政治経済学部卒業。月刊誌、週刊誌記者などを経て独立。新聞、雑誌などで経営、人事、雇用、賃金、年金問題を中心テーマとして活躍。『非情の常時リストラ』で日本労働ペンクラブ賞受賞。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「氷河期の勝ち組」だったのに……40代“エリート課長”に迫る危機
自分をエリートだと信じて疑わなかったサラリーマンが、社内の方針転換により出世のはしごを外されることがある。エリート意識や、能力主義への妄信が生む闇とは──?
「転職は裏切り」と考えるザンネンな企業が、知るべき真実
「お前はどこに行っても通用しない」「転職は裏切りだ」──会社を去ろうとする若手社員に、そんな言葉を投げかける企業がいまだに存在する。そうした時代遅れな企業が知らない「新入社員の3割が辞めてしまう理由」や、「成長企業できる企業の退職者との向き合い方」とは?
給与と労働時間、どちらを優先? 日立とパナソニックの「週休3日」は全く違う
連日「週休3日」が話題になっている。日立製作所とパナソニック ホールディングスが相次いで2022年度中の導入を検討していると発表したことがきっかけだ。しかし、日立とパナソニックの「週休3日」は全く異なるものだ。どういうことかというと……。
全国15棟のドーミーインで、「ホテルに暮らす」サブスク提供 狙いは?
共立メンテナンスは3月31日、ホテル暮らしのサブスクサービス「goodroomホテルパス」内で、新たにドーミーイン14棟のマンスリープランの提供を始めた。従来の宿泊だけではない、「ホテルに暮らす」「ホテルで仕事する」といった需要を狙う。
これは立派な社会問題だ――「働かないおじさん問題」と正しく向き合うべき理由
「働かないおじさん」という言葉を目にする機会が増えた。一方で、実際にミドルシニアの問題に悩む企業の話を聞くと、「本人が意図的にサボっている」というサボリーマン的な内容はごくわずかだ。「働かないおじさん問題」はどこから生じているのか、その本質について考察する。
