成城石井、上場へ 消費意欲が下がる中、高価格帯スーパーに勝ち目はあるか?:小売・流通アナリストの視点(2/5 ページ)
ローソングループの成城石井が東証プライム市場に上場することが明らかになった。「巣ごもり特需」も消え、食品スーパー各社が苦戦する中、成城石井はなぜ今上場するのか。消費意欲が下がる中、高価格帯スーパーである同社に勝ち目はあるのだろうか──?
避けられない「業界再編」
既に、われわれの食生活のインフラとなっている食品スーパーのマーケットは、基本的には人口の増減に大きな影響を受ける。人口減少が続くことが避けられないこの国において、市場縮小は避けられず、食品スーパー業界はいずれ再編に向かう。
既存店の売り上げが基本マイナスという環境であるため、「特需」効果が全て消失するならば、2、3年分の市場縮小を一気に引き受けることになる。多くの食品スーパーは「コロナ禍の時期が過去最高の業績だった」と、後に振り返ることになるであろう。業界再編という目線でみれば、企業価値の最高期=売り時、ということでもあり、これから食品スーパー業界においては多くのM&Aが決断されることになるはずだ。
成城石井は東証プライムに上場へ
こうした厳しい業界環境が予想される中、ローソンのグループ企業である成城石井がついに東証プライム市場に上場する方針が明らかになった。
成城石井といえば、普通の食品スーパーとは一線を画したこだわりの品ぞろえと、品質の高さが特徴の自社商品で知られる。特に総菜は消費者から高い支持を得ている。
その業績は下記の図表の通りだが、増収を継続して、年商は今や1000億円を超え、営業利益率は10%台と大手食品スーパーをはるかに上回る収益力を誇る超優良企業だ。
このような実績からも上場すれば、時価総額は2000億円を超える、といった見方も報道されていて、市場からも大いに注目されている。ローソンは、上場後も持ち株比率50%未満で株式保有を維持する方針を示してはいるのだが、なぜ、このタイミングで成城石井を上場させるのだろうか。
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