浅草の“深い傷跡” キレイなまま閉業・休業するホテル続々、インバウンド消失の誤算:歩いてみた(2/4 ページ)
6月10日から訪日観光客の受け入れが再開する。観光業界からは喜びの声が上っている一方で、これまでの2年2カ月の間、インバウンド需要を失ったことによるダメージは大きい。訪日観光客に人気の浅草では、「建物は新しいのに人の気配が全くない」ホテルが多い。大小さまざまなホテルが並ぶ国際通りを歩いてみると、その異様さが浮かび上がる。
このエリアは特にホテルが密接している。つくばエクスプレスの浅草駅を挟んで反対側には、京阪グループ傘下の「ホテル京阪浅草」や万両(東京都千代田区)が手掛ける「カオサン」ブランドのホステル「カオサン東京サムライ」が並ぶ。
これらのホテルと同じ区画に、白い工事用パーテーションに囲まれたホテルがある。イシン・ホテルズ・グループ(東京都港区)が運営していた「ザ・ビー 浅草」だ。同社は星野リゾートが50%の株式を持つ関連会社で、主力ブランドの「ザ・ビー」は宿泊特化型のホテルらしからぬ、高いデザイン性が人気だ。
このホテルは18年10月に開業した166室の客室数を持つホテルだ。1年半の営業ののち、20年4月13日に新型コロナウイルスの影響で休館。その後、4月30日に閉館となった。同ホテルは三菱地所が建設し、イシン・ホテルズ・グループに貸し出す形で営業していたため、第1回目の緊急事態宣言で営業が難しい中、賃貸料をめぐる判断により撤退が決まったものと思われる。
閉業は5月1日に事後報告の形で発表されたため、2社間で賃貸料の交渉が難航していた可能性も考えられるが、公式的な発表はなく、推測の域を出ない。同日、「ザ・ビー 浅草」はザ・ビーブランドの公式サイトからも削除され、単独の公式サイトも閉鎖した。きれいな状態の建物だけが残り、以前筆者が同ホテルの前を通った際には観光客が「新しいホテルがオープンするのかな?」と会話しながら建物を眺めていた。
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