浅草の“深い傷跡” キレイなまま閉業・休業するホテル続々、インバウンド消失の誤算:歩いてみた(4/4 ページ)
6月10日から訪日観光客の受け入れが再開する。観光業界からは喜びの声が上っている一方で、これまでの2年2カ月の間、インバウンド需要を失ったことによるダメージは大きい。訪日観光客に人気の浅草では、「建物は新しいのに人の気配が全くない」ホテルが多い。大小さまざまなホテルが並ぶ国際通りを歩いてみると、その異様さが浮かび上がる。
同じく西浅草三丁目交差点の北側には、「鹿 ASAKUSA SIKA HOTEL」がある。別ホテルの居抜きで入居し、リノベーションののち20年から同名称で運営しているホテルだが、22年1月から休業している。エントランスには貼り紙があり、「設備改修のため(中略)しばらくの間、休業させていただくこととなりました」と記載がある。
国際通りをさらに進むと「東横イン浅草千束つくばエクスプレス」が営業している。一方、その先に位置する「一遊ホテル浅草」は2021年3月の完成予定であったが、現在まで運営された形跡はない。
この先も国際通りは続き、いくつか小規模なホテルがあるが、東京メトロ日比谷線の三ノ輪駅や入谷駅が近くなり、「浅草」の地名を冠する建物も減っていくため、この記事で紹介する範囲はここまでとする。
ここまでで、規模の大小はさまざまだが、ホテルを13施設紹介した。そのうちの6つが現在営業をしていない。営業をしていないホテルは全てこの数年内に建設もしくはリノベーションされており、運営企業のほとんど(もしくは全て)が、東京五輪の影響でのインバウンド需要を見据えて動いていたことだろう。
来月からの訪日観光客の受け入れ開始により、これらの建物が有効活用される日は来るだろうか。あらためて街を歩くと、この2年2カ月間で、観光地・浅草が失ったものの大きさに気が付かされた。
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