使いやすさより可愛さ! 台湾で立体型の交通系ICカードが大ヒットするワケ:ヤクルトや森永キャラメルも(2/4 ページ)
改札機にかざすだけで列車に乗れ、店舗での買い物にも使える交通系ICカード。カードだから当然、フラットな形をしているが、お隣の台湾では少し事情が違う。フラットではなく、キャラクターなどをあしらった立体型のカードが主流だ。日本でいま話題のヤクルトや、森永のミルクキャラメルの箱を模したものなど、企業とコラボしたユニークなアイテムがそろう。いったい、なぜ作ったのか。そこには、日本企業にも参考になる、常識を覆すものづくりのアイデアと、確たる販売戦略があった。
――2014年から販売を始めたという3Dタイプの悠遊カードは、なぜ作ったのでしょうか
「私たちは、マーケティングと販売を目的に、悠遊カードに有用性を超えた新しい価値や魅力を付与しようと探求してきました。単にミニチュア製品を再現するだけでなく、繊細に作り上げることでコレクターの心をつかむことができ、市場の反応はとても良かったです」
デザインのかわいらしさを重視し、コレクションして楽しんでもらう――。そんな有用性を超えたポイントに着目したのが、3Dタイプの開発の始まりだという。
――これまでに累計でどれぐらいの悠遊カードを販売しているのでしょうか
「悠遊カードは、フラットなカードタイプのものも含めると20年前から販売しており、これまでに1億枚以上発行しています。このうち、3Dタイプの発行数は300万枚です。台湾の人口は約2300万人です。台湾人1人あたり、平均4枚以上の交通系ICカードを持っていることになります」
21年に20周年を迎えたJR東日本の交通系ICカード「Suica(スイカ)」の発行枚数は21年9月末時点で約8759万枚。人口が日本の5分の1を下回る台湾で、発行枚数が1億枚超というのは驚きだ。
周さんによると、実際には、日本を含む海外のコレクターが、台湾人の友人に悠遊カードの購入を依頼しているケースも多いという。
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