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トヨタは10年越しの改革で何を実現したのか? 「もっといいクルマ」の本質池田直渡「週刊モータージャーナル」(3/6 ページ)

素晴らしい決算を出した裏で、一体トヨタは何をやってきたのか。サプライチェーンの混乱というアクシデントをカバーする守りの戦い、そして台数を減らしても利益を確保できる攻めの戦い。そこにあるのが「もっといいクルマ」だ。

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「意志ある踊り場」

 余談だが、トヨタはそこからさらに一歩踏み込んだ。部品不足によって生産が止まれば、迷惑を掛けるのはユーザーである。トヨタは過去から現在に至るまで、お客様第一を明言している。当然、お客様のためという大義の下に、サプライヤーに無理を強いる場面もあった。今トヨタはそれも改めようとしている。

 もちろん顧客のメリットとのバランスは取るのだが、それを大義名分としてサプライヤーに無理をかけ過ぎていることに気付いたのである。「お客さんのためだ」と言ってサプライヤーに無理を押しつけ続けたら、サプライヤーでさまざまなコストアップが発生する。それはやがて巡り巡ってトヨタ自身にも返ってくる。そういう状況を是正するために「意志ある踊り場」と言い出したのである。その戦略がどういうものになるかはまだ分からないが、ここでもサプライヤーの困り事に真摯に向き合う姿勢が見て取れる。


22年3月、サプライチェーンの混乱の中開かれた労使交渉の場で、豊田章男社長は8年ぶりに「意志ある踊り場」という言葉を発した

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