売り上げよりも営業利益 オラクル出身の「イトーキ社長」に聞く“オフィス3.0”の意義:新しいかじ取り役(2/6 ページ)
社外から初めて次期社長としてイトーキに招聘されたのが3月に社長に就任した湊宏司氏だ。湊氏はIT大手の日本オラクルで最高執行責任者(COO)を務めていた。イトーキの新しいかじ取り役に、今後の方針を聞く。
IT企業だったら、オラクルは出なかった
――いままで歩んで来た経歴と、全く異なる企業に入ることを決断した要因は?
一言で言うと「高揚感」です。NTTに14年、サンマイクロ・オラクルに13年、とハードウェアにはほとんど関わることがありませんでした。ですが、私自身はものづくりにとても興味がありましたし、未経験の製造業に飛び込むという大きなチャレンジに胸が高鳴りました。そういう意味では、声が掛かったのがIT企業だったら、オラクルは出なかったと思います。
もう一つは、IT出身でIT以外の分野に行って成功した事例はあまりなく、IT業界に恩返しするためにも、IT業界の外で頑張って成果を出すことで、ITのポジションを引き上げたいと思ったことも理由のひとつでした。
――イトーキの業績の現状と、22年度の業績見通しはどのように予想していますか。
2021年度は計画そのもので減収にしていましたが、売上高の予想は1140億円に対して着地点は1158億円となりました。オラクルと違うと思ったのは、大型案件になればなるほど、(受注金額を)たたかれて利益率が下がります。トップライン(売り上げ)を意識しすぎると、たたき売ることになります。結果的に、19、20年度は2年連続で純利益が赤字になりました。
そういった事情も鑑みて、21年度は売り上げよりも営業利益をKPI(重要業績評価指標)に入れて、トップラインのことは忘れろと伝えました。このように売り上げから営業利益を重視するようマインドセットを変えています。これにより営業利益が増えて足腰が強くなるので、22年度はトップラインも増やそうとしています。
22年度は中期経営計画の2年目ですが、見通しは明るいと思います。その理由は、大規模案件が順調に推移しているためです。子会社の業績も回復してポジティブな材料が多いので、増収増益を計画しています。
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