清水建設の井上社長「利益率をより重視」 デジタルゼネコンで「豊作貧乏」を打開:3K職場を変える(4/4 ページ)
コロナ禍の影響により、ゼネコン業界では肝心の利益率が低くなり、「豊作貧乏」の傾向も見えてきた。そうした状況を打開しようとしているのが清水建設の井上和幸社長だ。ポストコロナを見据えながらDXを武器に、利益率をより重視した経営に舵を切ろうとしている。
物価上昇への対応策 発注者にも負担
――利益率を高めるために、どんな対策が必要だと思いますか。
社内的には、少しでも良い仕事を取るために、顧客のニーズに応えられるように提案力を磨けといっています。営業の人脈やネットワークを広げて顧客との結び付きを強めることはもちろんですが、顧客の期待を超える価値の提案を目指さなければなりません。
そして、建設業は装置を持たない人材産業なので、地道に人材を育てることも大切です。
先ほども触れましたが、ロシアのウクライナ侵攻を契機に異常なほど物価が上がってきています。契約してから工事が始まるまでの間にも資材価格が上がるので、利益率を低下させる大きな要因にもなりかねません。
日建連では、物価上昇分を発注者にも負担してもらえるようにならないか、契約約款について議論しています。物価上昇は一種の不可抗力です。われわれも物価上昇幅に照らして請負金額を増額する「スライド条項」を、民間の発注者にも認めていただけるように努めなければなりません。
もちろん、物価上昇分を転嫁するばかりではなく、例えば仮にある資材が5億円値上がりした時は、3億円は施主側に負担いただき、残りの2億円分は施工の工夫により吸収するとか知恵も出さなければならないと思います。これも提案力であり、一つの解決手法です。
急激に利益率を改善するのは各社ともに難しいと思いますが、大きな変化に対応するためには、量(売上高)ではなくて率(利益率)に軸足を移す必要があります。
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