移動スーパー「とくし丸」はなぜ“独走”しているのか 1000台突破の舞台裏:週末に「へえ」な話(3/5 ページ)
移動スーパー「とくし丸」の業績が好調である。クルマの稼働台数はぐんぐん伸びていて、売り上げも右肩上がり。「買い物難民をなんとかできないか」といったコンセプトでスタートしたこのビジネスは、なぜここ数年で伸びているのだろうか。同社の社長に話を聞いたところ……。
稼働台数は2年で2倍に
このような話を聞くと、「そんな人は少ないでしょ。あれもできて、これもできて、それもできてといった人なんて。働く側にとってプレッシャーを与えるだけでは?」と思われたかもしれないが、とくし丸側もそのことは重々承知している。
では、どのような手を打ったのだろうか。「業務フローを見直し、オペレーションが苦手な人にはその人の課題はどこにあるのかを浮き彫りにして、『あなたはココができていません。ですので、このように支援させていただきますね』といったやりとりをしていきました」(新宮さん)
効率よく仕事をさばいていくことで、営業にしっかり時間をかける。そして「売り上げを伸ばしていくぞー!」といった作戦に出たのだ。もちろん、すぐに効果が出たわけではないが、成績を残す人がじわじわと増えていった。そうすると、次にどういったことが起きたのか。
「売り上げを伸ばす=年収が増える」ことが目に見えて分かってきたので、「自分もやってみたいなあ」という人が増えたのだ。結果、クルマの稼働台数が増えていく。とくし丸と契約を結んでいないスーパーからも「売り上げを伸ばしているのね。ウチの営業エリアにも買い物難民の人たちがいるからなあ。ちょっとやってみようかな」といった形で参入が増えていき、20年に500台を突破してから、約2年で2倍に拡大したのだ。
クルマの稼働台数が1000台を超えたことを受けて、とくし丸はこのような目標を掲げた。「販売エリアを広げていって、3000〜4000台までに広げたいですね」(新宮さん)。いまの3〜4倍の規模である。熱く意気込みを語ってくれたが、気になることが2つある。
「とくし丸が好調だー!」となれば、「ウチもウチも」といった形で、競合が出てくるのではないだろうか。だが、いまのところ「ライバル」と呼べるところは見当たらない(生協がライバルになる?)。また、買い物難民が増えていくと、ネットスーパーもどんどん大きくなっていきそうだが、そうした話もあまり聞かないのは、なぜか。
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