リアルマネートレードを収益化? スクエニがブロックチェーンゲームの本命といわれるワケ:妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(8/9 ページ)
決算書といえば投資やビジネス視点で見るイメージがあると思いますが、より一次情報に近い経済ニュースでもあります。今回取り上げるのは、スクウェア・エニックス・ホールディングス(以下スクエニ)です。ご存じの通り、ドラゴンクエストやファイナルファンタジーで知られている企業です。
強いIPがブロックチェーンでさらに強力に
ちなみにNFTなどデジタル資産の可能性が増えたことで、強いIPを持っている企業の無形資産の価値は大きく増加していると考えられます。例えばスライムのオリジナル版NFTみたいな感じで販売すると高値で売れるでしょう。実際に販売するかは不明ですが、企業の持っている無形資産の価値が上がっている事は間違いないはずです。
とはいえ課題も非常に大きい業界でもあります。そもそも技術面がまだ追いついていないという事もありますし、文化的にも現状はゲーム業界とクリプト業界は必ずしも相いれないともいわれています。ゲーム好きのユーザーやクリエイターでは、ゲームをお金稼ぎの道具にされたくないという思いを持っている人も多いためです。
そういった中でユーザー離れの可能性もありますから、それこそドラクエのような人気作品をブロックチェーンゲームにするというのはまだまだ難しいでしょう。
また、日本ではトークン発行には非常に高い税率がかかったりと法整備の問題も大きく、国内で展開することは難しいです。そういったこともあって、スクエニも海外法人を作って投資を進めています。スクエニとしては海外比率も高いですし、ブロックチェーンゲームについては海外だけで展開してもいい、ということになってもおかしくはなさそうです。
このようにドラクエなどのMMOのブロックチェーンゲーム化は可能性が大きいですが、それを実際に行うには法整備、文化面、技術面含めまだまだ時間はかかりそうです。長期的に見てどういった変化をしていくのかに注目ですね。
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