「スイッチ買ったばかりなのに、もう次のハードが出るの?」 任天堂を悩ます次世代機の投入タイミング:妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(3/7 ページ)
4回に渡りゲーム企業の決算を取り上げて、日本のゲーム業界の現状と今後について考えていきます。今回取り上げるのは任天堂です。もちろんご存じの通りで「ニンテンドースイッチ(Nintendo Switch)」などのハードも製作していますし、「スーパーマリオ」や「どうぶつの森」などのソフトも製作している日本を代表するゲーム企業です。
直近の業績悪化、なぜ?
それでは続いて直近の22年3月期の通期の業績を見ていきましょう。
売上高は3.6%減の1兆6953億円、営業利益は7.5%減の5927億円、経常利益は1.2%減の6708億円、純利益は0.6%減の4776億円で減収減益となっています。
巣ごもりで21年3月期が大きく伸びていた反動があり、好調は継続していますが、業績は悪化してしまっていたようです。スクエニやカプコンでは22年3月期の方が好調だったのに、どうして任天堂は業績が悪化してしまったのでしょうか?
実はソフトウェアの販売本数を見てみると1.8%増の2億3507万本となっていて、伸びていることが分かります。業績悪化の要因はハードウェアで、売り上げは20%減の2306万台となったことが主要因です。
第3四半期に有機ELディスプレイを採用したスイッチの新モデルを販売したことで、買い替え需要もあり販売は伸びていますが、巣ごもりで大きく伸びた前期には及びませんでした。
そもそも1人で何種類も買うソフトと違い、ハードは基本的には1人1台しか買いませんから、当然売り上げは年々伸びにくくなっていきます。
とはいえそれでもハードの売上実績では過去2番目の水準です。年間のプレイヤー数は増加が続いていて、8700万人から1億200万人になっていますから、好調が持続していると考えていいでしょう。
販売から5年目のスイッチですから、すでにハードの普及率は高くなっていて売り上げは伸びにくくなっていきますが、一方でゲームは一定のネットワーク効果が働きます。友達と一緒に遊ぶためにゲームを買う、という経験がある方は多いのではないでしょうか。
特にオンラインプレイが通常となる中で、昔のように1台のハードで仲間で集まって遊ぶという形ではなく、1人1台で自宅で遊ぶという形になっていますから、ハードは以前より広がりやすくなっています。
なので巣ごもりの結果多くの方がスイッチを利用するようになったことは、その周りの人間に影響を与えやすいはずで好影響は続いていると考えられます。
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