「スイッチ買ったばかりなのに、もう次のハードが出るの?」 任天堂を悩ます次世代機の投入タイミング:妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(5/7 ページ)
4回に渡りゲーム企業の決算を取り上げて、日本のゲーム業界の現状と今後について考えていきます。今回取り上げるのは任天堂です。もちろんご存じの通りで「ニンテンドースイッチ(Nintendo Switch)」などのハードも製作していますし、「スーパーマリオ」や「どうぶつの森」などのソフトも製作している日本を代表するゲーム企業です。
大きな為替の影響
また任天堂は海外比率が78.8%と高く、為替が業績に与える影響も大きくなっています。
売上段階では為替で785億円ほどプラスの影響があり、営業利益段階では430億円ほどのプラスの影響があったとしています。
さらに任天堂は有名なキャッシュリッチな企業でもあり、現預金が1.2兆円ほどあります。
海外事業を積極的に行っていますから、現預金の中の外貨も多額で、22年3月末時点で31億2500万米ドル、3億8100万ユーロを保有しています。
そのため円安が進むことで円ベースで見た資産は増加し、為替差益も456億円と非常に多額です。営業利益への影響と合わせてみると、為替の影響だけで計886億円の利益が出ているのはすごいですね。
円安は5月10日に行われた決算発表の後も大きく進んでいて、22年6月時点でも大きく進んでいたドル円は134円を超えましたから、円ベースで見た際の為替による業績へのプラスの影響は考えられそうです。
特に23年3月期の想定レートはドル円で115円としていますから、その点からは業績の上振れが期待できそうです。為替差益の面で考えると、単純にドル円は31億ドル持っているわけですから、レートが1円変わると、31億円プラスに働きますし、ユーロでは3億8000万円プラスに働きます。ドル円では22年6月時点では134円台ですから、レートがそのままなら単純計算だと590億円以上の上振れが起きることになります。
ただし、海外事業の規模が大きい任天堂にとってはそもそも外貨建で取引を行うことが多いです。外貨を円転すること自体があまり考えられないので、円ベースの資産が増えたからといって実際の事業にどれだけ影響を与えるかは不明です。
関連記事
- 4年間で15%→36%に カプコンの営業利益率はなぜ急上昇したのか
今回取り上げるのはカプコンです。モンスターハンターやバイオハザードなどの人気ゲームを提供している企業で、家庭用ゲーム機向けのゲームソフトをメインに提供しています。営業利益の推移を見ると、20年3月期は大きく伸びていて右肩上がりで成長を続けています。どうして利益率が伸びていたのでしょうか? - リアルマネートレードを収益化? スクエニがブロックチェーンゲームの本命といわれるワケ
決算書といえば投資やビジネス視点で見るイメージがあると思いますが、より一次情報に近い経済ニュースでもあります。今回取り上げるのは、スクウェア・エニックス・ホールディングス(以下スクエニ)です。ご存じの通り、ドラゴンクエストやファイナルファンタジーで知られている企業です。 - サイゼリヤがコロナ前をはるかに上回る利益水準になった理由
決算書で分かる日本経済の動向という事で、4回連続で飲食企業4社の決算を取り上げて、日本の飲食企業の現状を見ていきます。今回取り上げるのはサイゼリヤです。もちろんイタリアンのファミリーレストランであるサイゼリヤを運営している企業です。 - コメダ珈琲は、なぜコロナの悪影響をあまり受けなかったのか?
決算書で分かる日本経済の動向ということで、4回連続で飲食企業4社の決算を取り上げて、日本の飲食企業の現状を見ていきます。第3回目として取り上げるのはコメダホールディングスです。もちろんコメダコーヒーの運営をしている企業です。 - マクドナルドのテークアウト/デリバリー成功の要因はどこにあった? 絶好調で時短協力金も辞退
決算書で分かる日本経済の動向ということで、4回連続で飲食企業4社の決算を取り上げて、日本の飲食企業の現状を見ていきます。今回取り上げるのは日本マクドナルドホールディングス、ハンバーガーチェーンのマクドナルドの国内展開をしている企業です。 - 吉野家は、飽和する国内市場でなぜ郊外と女性に目をつけたのか?
今回取り上げるのは吉野家ホールディングスです。牛丼チェーンの吉野家を中心に展開していて、それ以外にも大きなチェーンでははなまるうどんもこの吉野家グループの企業です。最近は本業以外の部分でも話題になることが多い吉野家ですが、今回はそんな吉野家の現状と今後について考えていきましょう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.