「上場直前まで苦しんだ」ランサーズ小沼CFOが浴びたIPOの洗礼:対談企画「CFOの意思」(4/4 ページ)
「CFOの意思」第3回の対談相手は、ランサーズで執行役員CFOを務める小沼志緒氏。「上場直前までトラブル続き」だったというIPOから学んだ、IPOでやるべき2つのこととは。「CFOになる」ことを目指してキャリアを歩んできたのはなぜなのか?
IPO準備の途中で「会社の中枢」が一斉退職
嶺井:ランサーズに入社されてからIPOまでは、壁の連続だったとおっしゃっていましたね。小沼: そうですね。というのも、IPO準備の途中で、実は一度リスケがありました。このリスケの少し後に、コーポレート管理部長が離職することが決まったのですが、それをきっかけに中枢を担うメンバーが数名立て続けに辞めてしまったのです。
一人一部署くらいの規模感だったため、人が一人辞めれば、一部署の機能が失われていく。その穴埋めをどのようにできるだろうかと四六時中考え、アウトソース先を探しつつ、見つかるまでは自分でリカバリーするように努力していました。周囲の役員から「大丈夫?」と聞かれたのですが、大丈夫なはずありませんよね(笑)。
入社半年というタイミングで、それまでは一部の仕事だけを与えられて担っていたところに、いきなり管理部全体の責任を担うことになる。最も大変な時期でした。
嶺井: 日興シティグループ証券やリクルートなどの大企業では、まずできない経験ですね。リクルートでは限定的な責任しか与えられず、もっと多くのものを経験したいという願いが、図らずも叶ったということですね。
小沼: リクルートでは最後の2年間ぐらいは、管理職として自分で手を動かすというより、メンバーの育成に注力していました。正直、現場の最前線に出られなくなったので物足りないなぁと感じていたのですが、ランサーズでの1年目は、あらゆる管理業務において現場の最前線に出ざるをえず、トゥー・マッチでした(笑)。
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上場の前後、CFOとしてトラブル対処に奔走したという小沼氏だが、その後もハードな出来事は続いた。そんな中で、大学時代から目指してきたCFOという職に専念するのではなく、事業部の責任者との兼任を決断した理由とは? 後編でご紹介する。
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