コラム
人手不足なのに黒字リストラを敢行する企業 「働かなくなったおじさん」が標的に:企業の思惑は?(1/3 ページ)
「人が足りない。人を募集しても優秀な人がこない」という悩みを話す経営者が増えている。人手不足を嘆く一方、黒字リストラを敢行する企業もある。「働かなくなったおじさん」がその標的になっているわけだが、なぜなのだろうか?
「人が足りない。人を募集しても優秀な人がこない」――こんな悩みを吐露する経営者が増えてきました。以前から人手不足が問題となっていた介護やITなどの業界だけでなく、事務職でもなかなか人が集まらないという相談を受けます。
一方で、黒字リストラを敢行する企業もあります。そこで今回は人手不足が問題になりつつある今、なぜ黒字リストラは増えているのか? その背景について解説します。
黒字リストラを行う理由と疑問
黒字リストラとは、将来を見据えた企業構造の再構築を目的として行われる人員の削減です。通常、リストラは業績不振に陥った企業が行いますが、退職金の上乗せなどにより一時的な出費がかさむためあえて業績がいい時期に行うのが特徴として挙げられます。そして次のような目的で実施すると言われています。
- 経営体力があるうちに既存の事業を見直し、先行き不透明な今後に備えたい
- 賃金水準の高い40代後半〜50代の人件費を削減したい
- 逆ピラミッド型の年齢構成を解消し、若手や優秀な中堅人材を採用して組織の新陳代謝を図りたい
年功序列から成果主義へ移行してきたとはいえ、まだまだ年功序列型の賃金制度を採用している企業は少なくありません。40代後半以降の社員を削減することで、浮いた原資を若手社員に回すことができます。
ただ大企業に入社できたくらいですから、もともと優秀な人材である可能性は高いでしょう。なぜ人手不足の状況でそのような人材を減らすのかという疑問もあります。スポーツ選手ならともかく、事務系の仕事では45歳を過ぎたからといって能力が衰えるわけではありません。
働かなくなったおじさん、なぜ生まれたのか?
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