真っ白なジグソーパズルが、なぜ10年で22万個も売れているのか:週末に「へえ」な話(4/5 ページ)
何も描かれていないジグソーパズルをご存じだろうか。商品名は「宇宙パズル」。メーカーの「やのまん」が10年前から販売していて、ロングセラー商品として注目が集まっているのだ。それにしても、なぜこのような商品を開発したのか。担当者に話を聞いたところ……。
売り上げが凸凹しない
となれば、正式に商品化が決定! おめでとう! ……となりそうだが、話はそれほどスムーズに進まない。これまで扱ったことがない商品なので、在庫リスクに不安を感じていたのだ。「それって他の商品でも同じでしょ。売れるときもあれば売れないときもあるんだし。在庫のことを考えていたら、前に進まないよ」と新規事業大好き人間からすれば、イライラしてしょうがないかもしれないが、ファンがどのくらいいるのかよく分からなかったので、「ゴーサイン」をなかなか出せなかったのだ。
例えば、アニメのキャラクターであれば、「ファンはこのくらいいるので、商品はこのくらい売れるでしょ」といった感じでソロバンをはじいて、生産数を決めていく。池に魚は〇匹いるから、エサはこのくらい用意して、といった話である。しかし、宇宙パズルの場合、市場規模がどのくらいなのかさっぱり分からなかった。1週間で100個ほど売れたが、それはたまたまかもしれない。
モヤモヤモヤモヤ。そんな気分でいたものの、意を決して販売したところ、1年目は2万個弱売れた。先ほど紹介したように、2万〜3万個売れればヒット商品の仲間入りなので、ロケットスタートに成功したのだ。
というわけで「2年目はもっと売るぞー」と前のめりになっていたが、結果は2万個ほど。「いやいや、3年目はもっと売れるはず」とチカラを入れたものの、結果は2万個ほど。この商品の特徴のひとつに、売り上げが凸凹しないことが挙げられる。この10年間、ずーっと2万個前後で推移しているのだ。
なぜ、そのような現象が起きているのだろうか。「売り上げが凸凹しないことを考えると、時代の影響をあまり受けていないのではないでしょうか」(大山さん)と分析している。富士山フェチであっても、同じ絵であれば、2枚目は買わない。となれば、会社としては、静岡側から見たモノ、山梨側から見たモノといった感じで、2枚目、3枚目、4枚目…を投入しなければいけない。
キャクターモノも同様である。昔から人気があるキャラでも、ファンは同じ絵を何枚も買わない。となれば、2枚目、3枚目を発売しなければいけないし、人気の浮き沈みが激しいキャラについては、タイムリーにどんどんつくっていかなければいけない。
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