au通信障害で起きた“負のスパイラル” 「おかけになった番号は現在……」に至るまで:本田雅一の時事想々(4/5 ページ)
7月2日、auで大規模な通信障害が発生した。KDDI高橋誠社長ら記者会見で語った経緯や調査状況から分かることとは? ITジャーナリストの本田雅一氏が解説する。
トラブルの影響は、実は端末のOSによってその範囲が異なっていたことが明らかになっている。
iPhoneは音声通話は受発信できない状態だったものの、データ通信は問題なくできていた。LINEや、ビデオ通話アプリのFaceTime(フェイスタイム)で普段、通話している人の中には、トラブルに気付かなかった人もいるだろう。一方、Android端末(と言っても多数の種類があるため“おおむね”である)は音声回線が止まっていると、データ通信も行えない実装になっていたため、通話とともにデータ通信もできなくなっていたという(Wi-Fi通信は正常に動作)。
当初はVoLTE交換機への輻輳から始まったトラブルだが、これが別の問題へと発展。その結果、丸1日を超えての長時間トラブルにつながった。
携帯電話網では通信を行う際、契約者情報を核となるデータ通信ネットワークに置かれた契約者データベースに書き込む。その情報をもとにさまざまな通信制御を行うが、VoLTE交換機上でも音声通信の交換を行うために同じ情報が必要となるため、契約者データベースに登録された情報がVoLTE交換機にコピーされる。
ところがルータートラブルでVoLTE交換機にコアネットワークからアクセスできなくなっていたため、契約者データベースへの輻輳も同時に発生していた。さらにこの輻輳によって交換機上のデータベースと契約者データベースの同期が不完全となり、エラーが発生しはじめたという。
冒頭で書いた「おかけになった番号は現在使われておりません……」のメッセージは、本来ならネットワークにつながっている契約者のデータが、VoLTE交換機にコピーできていなかったからと考えれば腑に落ちる。
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